篠路村

篠路村の歴史：開拓から札幌市編入まで

篠路村は、北海道札幌市北区と東区の一部に相当する地域に位置していました。この地は、江戸時代から豊かな歴史を育んできました。松前藩によって石狩十三場所の一つとして開かれたハッシャブ場所とシノロ場所が、篠路村の礎を築いたのです。

1855年（安政2年）、篠路神社の前身となる若宮八幡が創建されました。その後、箱館奉行石狩調役の荒井金助の尽力により、篠路八幡社として社殿が造営されました。これは、この地域における信仰の中心地としての役割を担うと共に、人々の生活に深く根付いた出来事だったと言えるでしょう。

1859年（安政6年）、幕府の命により荒井村（篠路村の前身）が設立されました。その後、北海道の行政区分が整備されると、篠路は石狩国札幌郡に属することになります。この時代から、篠路は独自の地域として発展を遂げていくことになります。

明治時代に入ると、1873年（明治6年）には早山清太郎により元村街道が開削されました。この街道は、地域間の交通を大きく改善し、篠路村の発展に貢献した重要なインフラ整備でした。人々の移動や物資の輸送が容易になり、経済活動の活発化にも繋がったと言えるでしょう。

1882年（明治15年）、徳島県から滝本五郎・阿部興人兄弟を中心とした入植者たちがやってきました。彼らは興産社を組織し、篠路の開拓に尽力しました。この入植は、篠路村の農業発展に大きな影響を与えただけでなく、地域社会の形成にも重要な役割を果たしました。新たな技術や文化が導入され、多様な住民が共存する活気ある村へと変化していったのです。

1906年（明治39年）4月1日には、北海道二級町村制が施行され、札幌郡篠路村が正式に設置されました。しかし、この時点では篠路村の一部のみが村制を施行し、旧篠路村の残部は琴似村、発寒村と合併して琴似村の大字篠路村となりました。この合併は、地域間の連携強化を目的として行われたと考えられ、新たな行政単位の誕生は、地域社会の再編を促す契機となったでしょう。

その後、1922年（大正11年）には支庁の改称により石狩支庁に所属することとなります。また、1934年（昭和9年）には札沼線札沼南線が延伸され、篠路駅が開業しました。鉄道の開通は、地域住民の生活に大きな変化をもたらし、交通の便が飛躍的に向上したことは言うまでもありません。

1937年（昭和12年）には、篠路村の中に篠路、太平、上篠路、拓北、福移、中野、茨戸の7つの字が編成されました。これは、地域社会の組織化を進め、行政運営の効率化を図るための重要な施策だったと推測されます。

そして、1955年（昭和30年）3月1日、篠路村は札幌市に編入されることとなりました。これは、篠路村の歴史における大きな転換期であり、都市部との一体化が進むことになりました。旧篠路村の字は、篠路町を冠して札幌市の町名として継承され、地域の歴史とアイデンティティが受け継がれていきました。ただし、字中野は篠路町中沼と改称され、字福移の一部は江別市に編入されました。

編入当時の交通機関は、国鉄札沼線篠路駅が主要な役割を担っていました。

このように、篠路村は江戸時代からの長い歴史の中で、開拓、入植、鉄道開業、そして札幌市への編入といった様々な出来事を経て、現在の札幌市へと発展していったのです。この歴史は、北海道の開拓の歴史を語る上で重要な一端を担っており、後世に伝えるべき貴重な遺産と言えるでしょう。

もう一度検索