簡定帝

簡定帝 (Giản Định Đế)

簡定帝（かんていてい）、またの名を陳 頠（Trần Ngỗi）は、後陳朝大越の初代皇帝です。彼は陳朝の第9代皇帝である芸宗の次男として誕生し、当初は簡定王として知られていました。

生涯と権力の変遷

陳朝が滅びた後、胡朝が成立する中で、簡定帝は日南郡王に封ぜられました。しかし、彼の運命は開大5年（1407年）に明の永楽帝によって大きく変わります。この年、明軍の攻撃により胡朝が滅ぼされ、安南は明の支配下に置かれました。明はその後、厳しい圧政を敷いたため、各地で反抗が起こることとなります。

このような背景の中で、陳頠は反明勢力を集結し立ち上がります。彼は兵を挙げ、自ら帝号を名乗ることで、復権を目指しました。興慶2年（1408年）、彼は配下の鄧悉や阮景真と共に明軍に対して大勝利を収めます。

ところが、戦勝の後、簡定帝は自らの権力を疑うようになり、敵対する勢力を恐れ始めました。彼は讒言に耳を貸し、鄧悉や阮景真を誅殺する決断を下しました。この行動によって、彼の周囲には不安が生まれ、失望と怒りが広がります。

権力と裏切り

鄧悉の息子である鄧容や、阮景真の息子阮景異は、簡定帝の兇行に対し激しく反発し、権力の座を簒奪するために、簡定帝の甥である陳季拡を擁立しました。こうして簡定帝は譲位を迫られ、仕方なく権力を譲ることに至ります。その後、彼は太上皇としての地位に甘んじることとなります。

重光5年（1413年）、簡定帝の行った鄧悉らの殺害によって、後陳朝はその軍事力を著しく失うことになります。その結果、反撃を受けた明軍に対し、後陳朝は壊滅的な打撃を受けることになりました。失政の末に、簡定帝は明軍に捕らえられ、最終的には南京で処刑されることとなります。

簡定帝の短い統治の間には、多くの変動と権力闘争が織り交ぜられており、彼の生還は歴史の激動を象徴する事件として伝えられています。彼の生涯は、権力を求める妄執が引き起こす悲劇を痛感させるものであり、数世代にわたって語り継がれる内容です。

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