米野智人

米野 智人（よねの ともひと）は、1982年1月21日に北海道札幌市北区で生まれた、日本の元プロ野球選手。現役時代は捕手、外野手、内野手としてプレーし、引退後はコーチを務めた経験も持つ。右投右打。現在はWestside合同会社の代表を務めている。

プロ入り前、札幌新琴似シニアリーグを経て、小樽市の北照高等学校に進学。高校では2年春に選抜高等学校野球大会に出場を果たした。1999年度のドラフト会議で、東京ヤクルトスワローズから3位指名を受け、プロの世界へ足を踏み入れた。入団時の背番号は51番だった。

ヤクルトに入団後、最初の年である2000年には一軍での出場機会はなかった。プロ初出場を果たしたのは2001年、9月7日の対読売ジャイアンツ戦で、代打としての途中出場だった。2002年にはプロ初安打を記録し、8月11日の対横浜ベイスターズ戦では初の先発マスクを被り、その試合でプロ初本塁打と初打点をマークした。さらに8月19日の阪神タイガース戦では、延長11回二死満塁の局面でプロ初のサヨナラ打を放つなど、印象的な活躍を見せた。しかし、翌2003年は一軍出場がなく、2004年に15試合、2005年に34試合と徐々に出場機会を増やしていった。特に2005年のシーズン終了後には、退任する若松勉監督から打撃面の成長を評価された。正捕手だった古田敦也が選手兼任監督となった2006年は、自己最多となる116試合に出場。前年からの打撃指導もあり、自身初めて打率2割台（.235）に到達し、7本塁打を放った。2007年は正捕手候補の筆頭と目されたものの、オープン戦での打撃不振から開幕後は福川将和にスタメンを譲ることが増えた。一時的にスタメンに復帰したが、打率は1割台に低迷し、正捕手定着は叶わなかった。守備面では送球の安定は見られたものの、リード面で古田監督から厳しい評価を受けることもあった。7月には二軍降格となり、川本良平の台頭もあり、シーズンを終えた。2008年前半は控え捕手として一軍にいたが、衣川篤史の台頭や川本の復帰により6月に登録抹消。7月には二軍戦で右手親指を骨折したが、驚異的な回復力で9月に実戦復帰し、福川の怪我を受けて再び一軍へ昇格した。

2010年6月18日、山岸穣との交換トレードで埼玉西武ライオンズへ移籍し、背番号は36番に変更された。しかし、この年は移籍前後を通じて一軍での出場はなかった。2011年は細川亨のFA移籍で正捕手争いのチャンスが訪れたが、自身の怪我で出遅れ、一軍出場はわずか3試合に留まった。この年、チームの外野手不足から、秋季キャンプで外野守備の練習を開始した。2012年にはポジション登録を捕手から外野手へ変更。4月26日のソフトバンク戦では、9回二死満塁からブライアン・ファルケンボーグから逆転満塁本塁打を放ち、チームを勝利に導いた。これは自身5年ぶりの本塁打であり、この時の実況は多くのファンの感動を呼んだ。この頃からイースタン・リーグでは一塁や捕手としても出場するなど、複数ポジションをこなすようになった。2013年は一軍3試合の出場に終わり、イースタンでは一塁、三塁、外野を守った。2014年は主に代打として12試合に出場し、犠飛2つと、2年ぶりの安打や打点を記録。イースタンでは一塁と外野を守った。2015年は一軍2試合の出場のみで無安打に終わる。二軍では捕手の故障者が続出したチーム事情から10試合でマスクを被ったが、一軍での出場機会はなく、10月2日に球団から戦力外通告を受けた。

2015年11月12日、地元球団である北海道日本ハムファイターズと、捕手兼二軍バッテリーコーチ補佐として契約を締結。背番号は70となった。栗山英樹監督の意向もあり、ポジション登録は4年ぶりに捕手へ戻された。2016年はコーチ補佐として選手の指導にあたる傍ら、ユーティリティープレイヤーとして捕手、一塁手、三塁手、外野手としてイースタン・リーグに出場。4月20日の西武戦では捕手として途中出場し、自身2年ぶりとなる一軍公式戦出場を果たしたが、この年の一軍出場はこの1試合のみとなった。球団は翌年以降の契約も視野に入れていたが、シーズン中の8月に現役引退の意向を伝え、10月30日に引退とコーチ補佐退任が発表された。12月2日付で自由契約選手として公示され、17年間のプロ野球生活に幕を下ろした。

現役引退後、2017年に結婚。プロ野球での経験を社会に還元することを目指し、「食の伝道師」としての活動を模索。同年3月には、東京都世田谷区下北沢に自身のプロデュースする自然食カフェレストラン「inning＋（イニングプラス）」をオープンした。この店は2020年3月に「westside cafe」と改称された後、2021年1月に閉店。しかし、飲食事業への意欲は衰えず、2021年3月16日には、かつてプレーしたベルーナドーム（旧メットライフドーム）の一塁側に、ヴィーガン食を提供する「BACKYARD BUTCHERS」を新たに開店している。

選手としては、ヤクルト入団当初から「古田敦也の後継者」として期待され、古田氏からも肩の強さや長打力を評価された。しかし、捕手としてのキャッチングやリード面に課題を抱え、後継者という重圧からミスを重ね、精神的に追い詰められる時期もあった。2007年には古田氏から厳しい言葉を受け、二軍降格を経験。この出来事以降、古田氏との再会は12年後の2019年まで実現しなかったという。打撃面ではパンチ力があった一方、確実性に課題があり、プロ17年間で打率2割を超えたシーズンは限られたものだった。西武時代の2012年に放った逆転満塁本塁打は、文化放送の斉藤一美アナウンサーが感極まった実況でも知られ、その後の応援歌にも「レフトスタンド狙え 奇跡を起こせ」というフレーズが盛り込まれるほど、強いインパクトを残した。米野の実家は札幌市内で喫茶店を経営しており、引退後に自身も飲食店経営に携わるという点は、その経験も活かされていると言えるだろう。

主な記録：

• - 初出場：2001年9月7日、対読売ジャイアンツ戦（東京ドーム）、8回表に代打で出場
• - 初安打：2002年4月9日、対読売ジャイアンツ戦（東京ドーム）、9回表に左前安打
• - 初先発出場：2002年8月11日、対横浜ベイスターズ戦（明治神宮野球場）、8番・捕手で先発出場
• - 初本塁打・初打点：同上、5回裏に左中間越ソロ
• - 初盗塁：2004年5月12日、対中日ドラゴンズ戦（ナゴヤドーム）、9回表に二盗

背番号：

• - 51（2000年 - 2010年途中）
• - 36（2010年途中 - 2015年）
• - 70（2016年）

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