粘表皮癌

粘表皮癌とは

粘表皮癌（Mucoepidermoid carcinoma）は、上皮性悪性腫瘍の一種であり、主に唾液腺や気道の外分泌腺、子宮頸部などから発生します。この腫瘍は、粘液を産生する細胞と類表皮細胞、さらにはその中間に位置する細胞から構成されるため、さまざまな形態を持つのが特長です。

悪性唾液腺腫瘍の中でも一般的な存在

粘表皮癌は悪性唾液腺腫瘍の中では比較的多く見られるものであり、特に耳下腺に頻発します。また、小唾液腺の40%は口蓋部に発生し、この腫瘍は30代から40代の年齢層に多く見受けられ、女性にやや多い傾向があります。10歳以下の子どもに対しては稀に発生しますが、小児の悪性腫瘍としては一般的です。

予後と病理学的特徴

粘表皮癌の5年生存率は約80%と高いため、全体的には予後が良好です。しかし、分化度が低い場合には予後が悪化することもあります。腫瘍の被膜は明瞭ではなく、特に低分化型では周囲の組織に浸潤しやすいとされています。初期には痛みを伴わないことが多いですが、サイズが大きくなると神経障害や痛みを引き起こし、通常は発症から1年以内に自覚症状が現れます。

診断と組織病理学的特徴

顎骨内にできることもある粘表皮癌は、肺内の気管支腺から発生する場合には、稀な組織型の肺癌と認識されます。組織病理学的には、腺管が嚢胞的に拡張している様子や、不規則な形状の腺管が観察され、周囲には扁平上皮様の細胞が敷石状に並んでいるのが特徴です。これらの扁平上皮様細胞には角化がなく、腫瘍の間質は線維性の組織であることが多く、腫瘍被膜は不明瞭な場合がほとんどです。

まとめ

粘表皮癌は、上皮性腫瘍として分化度や発生部位、予後により多様性を持つため、診断と治療には慎重さが求められます。早期の発見と適切な治療が、良好な予後を実現するための鍵と言えるでしょう。

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