糟屋有季

糟屋有季

糟屋有季（かすや ありすえ）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武将で、鎌倉幕府の御家人です。相模国大住郡糟屋荘（現在の神奈川県伊勢原市一帯）を領した糟屋盛久の子として生まれました。妻は比企能員の娘。

生涯

父である盛久は、治承4年（1180年）の源頼朝の挙兵の際、平家方として石橋山の戦いに参加しましたが、後に頼朝に臣従したと考えられています。有季は寿永2年（1183年）、源義経率いる源義仲討伐軍に加わり、宇治川の戦いで戦功をあげました。

文治2年（1186年）には、失脚して都落ちした義経を探索するため、比企朝宗の軍勢に属して上洛し、義経の郎党である佐藤忠信や堀景光を捕縛する功績を挙げました。文治5年（1189年）7月の奥州合戦にも従軍し、頼朝の信頼を得ます。

頼朝の死後、正治2年（1200年）の梶原景時の変では、景時討伐軍に属して賞を受け、また景時の友人であった安房判官代隆重を捕らえるなど、幕府への忠誠を示しました。

建仁3年（1203年）9月2日、比企能員の変が勃発します。能員の娘婿であった有季は、比企一族と共に北条義時率いる大軍と激戦を繰り広げ、壮烈な討ち死にを遂げました。

『愚管抄』には、有季が頼家の子である一幡を逃がすために小御所に立て籠もり、敵方から命を惜しまれて退避を勧められたにもかかわらず、最後まで奮戦して討ち死にした様子が詳細に記されています。その忠義心と勇猛果敢な戦いぶりは、後世にまで語り継がれています。

有季の子である有久らは、一条高能の側室となっていた姉妹を頼って上洛し、後鳥羽上皇に仕えました。『愚管抄』に小御所での有季の動きが詳細に記されているのは、筆者である慈円が、上洛した有季の遺族から直接話を聞いたことによると考えられています。

関連項目

* 糟屋氏

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