沖縄県糸満市に位置する字糸満は、かつて糸満町の中心地として栄えた地域です。
1908年から
1961年までは糸満町として独立した自治体でしたが、周辺の村との合併を経て、現在の
糸満市の一部となりました。この地域は、漁業の町として古くから知られ、独自の文化を育んできました。
地理
字糸満は、
糸満市の旧市街地の中心部に位置し、照屋、兼城、真栄里、潮崎町、国吉、西川町と隣接しています。かつては西崎とも隣接していましたが、西川町が分離したことで、現在は隣接していません。かつて存在した公共施設の多くは
埋立地に移転しましたが、現在も公設市場や銀行の支店、郵便局などが残っています。郵便局は旧敷地内に「糸満新島郵便局」として存続しており、警察署も糸満ロータリー付近に交番を設置しています。
幹線道路である
沖縄県道256号豊見城糸満線や
沖縄県道77号糸満与那原線は、道幅が狭く、糸満ロータリー付近では慢性的な渋滞が発生しています。そのため、
那覇市から南部戦跡に向かう
観光バスは、内陸の
沖縄県道7号奥武山米須線を利用することが多いです。渋滞解消のため、
沖縄西海岸道路糸満道路が開通し、国道や県道の拡幅、市街地を迂回する道路の建設が進められています。
行政区
字糸満の地内には、1桁台から2400番台までの番地が存在しますが、地域によっては、わずかな番地の違いで場所が異なる場合があります。そのため、郵便配達や宅配業者は、場所の特定に苦労することがあります。
住居表示は、
1994年に西川町の一部分のみで実施され、それ以外の地域では土地区画整理が未実施のため、現在も実施予定はありません。字糸満では、
1961年の合併前の旧町域の流れから、地域を8つの行政区に分けて地域活動が行われています。各行政区は、地区名で呼ばれることが多いですが、以前は1区から8区と呼ばれていたため、現在でも略称として使われることがあります。
行政区一覧
南区(1区)
前端区(2区)
新川区(3区)
新島区(4区)
稲嶺区(新屋敷区)(5区)
上之平区(6区)
西区(7区)
町端区(8区)
西川区は、
1994年の
住居表示実施で西川町となりました。
歴史
かつて字糸満は、兼城
間切糸満村の一部でした。この地域は海人(うみんちゅ)の町として漁業が盛んであったため、
1908年4月の
島嶼町村制施行時に兼城村から分立し、糸満町として唯一町制を敷きました。その後、港を中心に
沖縄本島南部の中心として発展しました。
1923年には
沖縄県営鉄道糸満線が開通し、町内には終着駅となる糸満駅が設置されましたが、沖縄戦で破壊され、跡地には糸満中学校が建てられました。
1961年10月1日、旧糸満町は兼城村、高嶺村、三和村と合併し新糸満町となり、旧糸満町は糸満町字糸満となりました。
1971年12月1日に市制を施行し、
糸満市となりました。合併後も字糸満は、
糸満市の政治・経済の中心地として発展し、市役所をはじめ、警察署、郵便局、消防署、銀行などが置かれていました。
しかし、住宅の密集と市全体の人口増加により、公共施設が老朽化・狭隘化したため、周辺の
埋立地に施設を移転することになりました。
1990年代までに、主な公共施設はすべて
埋立地に移転しました。市役所も、
2002年に潮崎町に移転しました。現在では、公設市場や銀行の支店が残っていますが、郵便局は旧敷地内に「糸満新島郵便局」として存続し、警察署も糸満ロータリーに交番を設置しています。
交通
字糸満内には、
糸満バスターミナルがあり、多くの路線バスが発着しています。また、隣接する真栄里には
那覇バス糸満営業所もあります。字糸満を通る主な路線バスは以下の通りです。
34番・糸満(東風平)線(沖縄バス)
35番・糸満(志多伯)線(
沖縄バス)
36番・糸満~新里線(沖縄バス)
81番・西崎向陽高校線(琉球バス交通)
82番・糸満玉泉洞線(琉球バス交通)
89番・糸満(高良)線(琉球バス交通・
沖縄バス共同運行)
107番・南部循環(真壁廻り)線(琉球バス交通)
108番・南部循環(喜屋武廻り)線(琉球バス交通)
189番・糸満空港線(琉球バス交通)
200番・糸満おもろまち線(
沖縄バス)
235番・志多伯おもろまち線(沖縄バス)
334番・国立劇場おきなわ線(
沖縄バス)
446番・那覇糸満線(那覇バス)
字糸満内には、11ヶ所のバス停がありますが、路線によって停車するバス停が異なるため、注意が必要です。
主なバス停
糸満市役所入口
糸満市場入口
糸満ロータリー
糸満西区
白銀堂前
糸満入口
糸満市場前
双子橋
新島
糸満小学校前
親田原
稲嶺原入口
糸満高校前
主な道路
国道331号
沖縄西海岸道路糸満道路
国道507号
沖縄県道77号糸満与那原線(
主要地方道)
沖縄県道54号線
沖縄県道250号糸満具志頭線
沖縄県道256号豊見城糸満線(旧国道331号)
施設
現存する施設
糸満警察署
糸満漁港
糸満市生涯学習支援センター
糸満バスターミナル
沖縄県立糸満高等学校
糸満市立糸満中学校
糸満市立糸満小学校
移転・廃止された施設
糸満市役所
糸満郵便局
糸満市消防本部
糸満電報電話局
*
糸満市立糸満南小学校
字糸満は、過去の歴史と変化を経験しながら、現在の
糸満市の中心として重要な役割を果たしています。