細川満元

細川満元：室町幕府を支えた守護大名

細川満元（ほそかわ みつもと）は、室町時代前期に活躍した守護大名であり、室町幕府の11代管領を務めました。細川京兆家の8代当主として、摂津国、土佐国、讃岐国、丹波国、そして和泉国（上半国）の守護を兼ねました。その政治手腕は、当時の公家や武家からも高く評価され、幕政における重要な役割を担いました。

生涯

細川満元は、細川頼元の長男として生まれました。幼名は聡明丸と名付けられ、元服の際に3代将軍・足利義満から偏諱を受け、満元と改名しました。応永4年（1397年）に父が亡くなると、家督を継ぎ、摂津、土佐、讃岐、丹波の守護となります。応永6年（1399年）に勃発した応永の乱の後には、和泉国上半国の守護にも任じられました。

応永19年（1412年）3月、満元は管領職に就任します。管領在任中は、北畠満雅の反乱、上杉禅秀の乱、足利義嗣の殺害事件、そして有力守護大名と4代将軍・足利義持、側近の富樫満成との対立など、数々の難題が起こりました。しかし、満元は義持を献身的に補佐し、これらの問題を一つ一つ解決に導き、守護連合制度の確立に尽力しました。

応永28年（1421年）7月、満元は管領を辞任し、その5年後の応永33年（1426年）10月16日、49歳で生涯を閉じました。

同時代の公家である中山定親は、満元を「執政の器」と評し、満済も『満済准后日記』の中で「天下の重人なり、御政道等一方の意見者」と記しています。これらの記述は、満元が武家だけでなく公家からも、幕政における重鎮として認識されていたことを如実に示しています。

邸宅跡

満元の死後、その邸宅跡には、彼の法名にちなんで「岩栖院」（がんすいん）という寺院が建立されました。現在も京都市上京区に岩栖院町という地名が残っています。1610年、岩栖院は南禅寺に移転し、その跡地は後藤長乗に与えられました。後藤長乗によって整備された庭園は「擁翠園」として知られています。

世阿弥との交流

満元は、能楽の大成者である世阿弥と交流がありました。満元が文化的な造詣も深かったことがうかがえます。

本興寺の開創

応永27年（1420年）、満元は日隆を開山として、本興寺を開創しました。本興寺は、現在も尼崎市に存在し、地域の人々に親しまれています。

系譜

父：細川頼元（1343-1397）
母：赤松則祐娘
室：不詳
嫡男：細川持元（1399-1429）
次男：細川持之（1400-1442）
三男：細川持賢（1403-1468）

満元の孫にあたる細川勝元は、応仁の乱で東軍の総大将として活躍しました。

細川満元は、室町時代前期の政治において重要な役割を果たし、文化の発展にも貢献した人物でした。彼の業績は、今日においても高く評価されています。

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