細川持之

細川持之（ほそかわ もちゆき）

細川持之は、室町時代中期に活躍した武将であり、守護大名です。室町幕府において管領という重職を務め、幕政の中枢を担いました。細川京兆家の10代当主であり、摂津、丹波、讃岐、土佐の守護を兼ねていました。

生涯

持之は、細川満元の次男として生まれました。元服の際に、第4代将軍足利義持から偏諱を受け、「持之」と名乗るようになりました。

1429年、兄である持元が亡くなったため、その後を継いで家督を相続しました。

1432年には、斯波義淳の後を受けて管領に就任し、第6代将軍足利義教（義持の弟）の専制政治のもとで幕政を担いました。この時期には、関東で発生した永享の乱や結城合戦などの対応にも追われました。

1441年5月26日、持之は自邸に義教を招き、結城合戦の戦勝祝宴を催しました。

しかし、その直後の6月24日、赤松満祐が結城合戦の祝勝会で義教を暗殺するという事件が発生しました。この時、持之も同席していましたが、難を逃れています。義教の死後、持之は直ちに朝廷に参内し、この事件を報告しました。さらに、満祐が義教の首級を返還すると述べた使者を斬り殺し、赤松家との敵対姿勢を明確にしました。

6月26日、持之は幕府の重臣たちと協議し、義教の嫡子である8歳の足利義勝を室町御所に迎え、義教の後継者としました。また、在京の諸将を結集させ、赤松氏を討伐するための対策を講じました。しかし、討伐はなかなか進展せず、7月6日に行われた義教の葬儀には、持之しか出席しなかったと言われています。

さらに、満祐から持之に挑戦状が送られるという事態も発生しました。将軍が殺害されたにもかかわらず、管領である持之が戦いを避け、逃げ出そうとしたことから、その臆病さを嘲笑され、満祐と結託しているという噂まで流れました。しかし、このような幕府の対応の遅れは、持之が赤松氏に有利に事態を収拾しようとした意図によるものだという見方もあります。

7月26日、持之は朝廷に満祐追討の綸旨を求めましたが、朝廷内では義教の恐怖政治を終わらせた満祐に同情する声も多く、綸旨はなかなか出されませんでした。しかし、持之が永享の乱における持氏討伐の綸旨の先例を挙げ、強く嘆願した結果、8月1日に赤松討伐の綸旨が下されました。

持之は、山名宗全や一族の細川持常らを主力とする大軍を播磨などの赤松領国に派遣し、西国の大名も動員しました。そして、9月までに赤松家を滅亡させました（嘉吉の乱）。その後は、幼い義勝に代わって幕政を主導しました。

1442年6月24日、持之は管領を辞任して出家し、「常喜」と改名しました。そして、同年8月4日に43歳で亡くなりました。家督は嫡男の勝元が継ぎましたが、幼少であったため、弟の持賢が後見人となりました。後任の管領には畠山持国が就任し、以後の幕政は持国が主導することになりました。

系譜

父：細川満元（1378-1426）
母：不詳
室：京極高光娘
嫡男：細川勝元（1430-1473）
生母不明の子女
男子：細川成賢 - 細川持賢の養子

偏諱を受けた人物

津野之高 - 持之が守護職を兼ねる土佐国の豪族・津野氏の当主。

脚注

注釈

出典

参考文献

国史大辞典編集委員会編『国史大辞典 12 ふ - ほ』吉川弘文館、1991年。
佐藤和彦、錦昭江、松井吉昭、櫻井彦、鈴木彰、樋口州男共編『日本中世内乱史人名事典』新人物往来社、2007年。
高坂好『赤松円心・満祐』吉川弘文館〈人物叢書〉、1970年。

関連項目

嘉吉の徳政一揆
加賀両流文安騒動

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