経済通貨同盟

経済通貨同盟とは

経済通貨同盟（けいざいつうかどうめい）は、共通の通貨が導入されている単一市場のことを指します。この制度は、Economic and Monetary Union（EMU）や経済通貨統合とも呼ばれます。経済通貨同盟は、1800年代に存在したラテン通貨同盟とは異なり、単一市場（共同市場）がなかったため、特異な形態であったといえるでしょう。経済通貨同盟は、経済統合の進展を示す第5段階目と位置づけられ、通常は貿易協定を通じて設立されます。

現存する経済通貨同盟

現在、最も著名かつ広範囲に及ぶ経済通貨同盟はユーロ圏です。ユーロ圏は、単一通貨であるユーロを用いており、1999年1月1日から銀行間取引においてこの通貨が使用され始めました。以後、2002年1月1日には、ユーロ圏内でユーロ貨幣が流通し、欧州連合（EU）の経済通貨統合の第3段階を完成させました。ただし、ユーロを導入している国も存在し、EUに加盟していない場合はその国はユーロ圏に含まれません。

ユーロ圏の段階的実現

ユーロ圏の経済通貨同盟の成立は、以下の3つの段階を経て実現しました。

1. 第1段階（1990年7月 - 1993年12月）
- この段階では、市場の統合を促進することが求められました。具体的には、資本の自由な移動や、人、物、サービスの移動の自由化が進められ、さらに中央銀行総裁会議の機能が強化されました。また、マーストリヒト条約に基づいて、加盟国の経済的収斂基準が設定されました。

2. 第2段階（1994年1月 - 1998年12月）
- この段階では、欧州中央銀行（ECB）設立のための基盤が整いました。欧州通貨機関（EMI）を設立し、加盟各国の財政赤字を抑制するルールが策定されました。そして、1998年には欧州中央銀行が正式に発足しました。

3. 第3段階（1999年1月 - 現在）
- 最終段階として、単一通貨ユーロと参加国の通貨の固定換算レートが設定され、ユーロが参加国の通貨に置き換わりました。国際金融市場においては、トリレンマの概念が絡み合い、ユーロ導入国に対して欧州中央銀行が統一的な金融政策を確立する役割を果たしています。

ユーロ圏の参加国

2015年時点において、ユーロ圏の中で経済通貨同盟第3段階にある国は次の通りです：

• - 1999年：ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、アイルランド、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランド
• - 2001年：ギリシャ
• - 2002年：ユーロ貨幣の流通開始
• - 2007年：スロヴェニア
• - 2008年：マルタ、キプロス
• - 2009年：スロバキア
• - 2011年：エストニア
• - 2014年：ラトビア
• - 2015年：リトアニア

この合計で、ユーロ圏には19カ国が参加しています。

設立が提唱されている経済通貨同盟

アフリカやカリブ海地域にも経済通貨同盟の創設が提案されています。具体的には次のような地域が挙げられます：

• - カリブ共同体
• - 西アフリカ諸国経済共同体（ECOWAS）
• - 東アフリカ共同体（EAC）
• - 湾岸協力会議（GCC）
• - 南部アフリカ開発共同体（SADC）
• - 南米共同体（Unasul）
• - アフリカ経済共同体（AEC）

かつて存在した経済通貨同盟

歴史的には、1922年に創設されたベルギー・ルクセンブルク経済同盟があり、これは後にベネルクスやユーロ圏へと拡大したことがありました。

関連項目

• - 通貨同盟
• - ブレトン・ウッズ協定
• - N-1問題

関連情報やデータは、各国の中央銀行や経済関連機関からも得られます。

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