続・社長忍法帖

『続・社長忍法帖』は、1965年1月31日に東宝によって公開された日本映画です。カラーかつ東宝スコープで撮影された本作は、多くのサラリーマンの共感を呼んだ「社長シリーズ」の記念すべき第23作目にあたります。

この作品は、前作『社長忍法帖』で北海道出張所の主任を務めていた毛馬内強（フランキー堺）が、晴れて本社の営業課長に昇進し、東京へ戻ってきたところから物語が展開します。そして、新たな地方ロケの舞台として選ばれたのは古都・京都。シリーズおなじみの岩戸久太郎社長（森繁久彌）率いる会社の面々が、関西でのビジネスや人間関係を巡って騒動を巻き起こします。

主要キャストは、シリーズを牽引する岩戸社長役の森繁久彌、その夫人・登代子役の久慈あさみに加え、戸樫忠造専務を演じる加東大介、石川隆部長役の小林桂樹、そしてその妻・京子役の司葉子といった面々が盤石の布陣を固めています。昇進した毛馬内を演じるフランキー堺も、物語の重要な鍵を握ります。また、マダム澄江役の新珠三千代や芸者・玉菊役の草笛光子といった華やかな顔ぶれもシリーズに彩りを添えています。

本作の特筆すべき点として、小林桂樹と司葉子演じる石川夫妻に、シリーズを通して初めて子供が誕生するという大きな変化が描かれることが挙げられます。これは、シリーズが長期化する中で、登場人物たちの人生の歩みや家族構成に現実的な変化を取り入れようとする試みであったと言えるでしょう。また、豪華な助演陣も見どころの一つで、庄司社長役の藤田進や甲賀社長役の進藤英太郎といったベテラン・大物俳優が出演し、作品に深みを与えています。森繁久彌主演の別の人気シリーズ「駅前シリーズ」で当時常連だった旭ルリも舞妓役で登場しています。

一方で、本作はシリーズの多くの作品で名物となっていた宴会芸のシーンが全く無いという、シリーズ中唯一の特徴を持っています。これは前作『社長忍法帖』も同様で、この二作はシリーズの流れの中でやや異質な位置づけにあると言えます。

製作スタッフは、製作に藤本真澄、脚本に笠原良三、そして監督には松林宗恵が名を連ねています。撮影は鈴木斌、照明は石井長四郎、美術は村木忍、録音は伴利也が担当し、音楽は山本直純が手掛けました。編集は岩下広一、助監督は松森健、スチールは秦大三がそれぞれ務め、当時の東宝の強力な製作チームによって作り上げられました。

本作の同時上映は、水上勉原作、八住利雄脚本、豊田四郎監督、若尾文子主演による東京映画製作の文芸作品『波影』でした。コメディとシリアスドラマという対照的な組み合わせでの上映だったことがわかります。

『続・社長忍法帖』は、シリーズとしての安定した人気を保ちつつも、登場人物の家族に変化を加えたり、名物の宴会芸を排除したりするなど、新たな試みや特徴が見られる一作と言えるでしょう。

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