綾川五郎次 (1883年生)

綾川五郎次について

綾川五郎次（あやがわ ごろうじ）は、1883年11月2日に青森県南津軽郡（現在の黒石市）で誕生した大相撲の力士です。本名は村上要作（むらかみ ようさく）で、入間川部屋に所属していました。彼は相撲界において関脇という名誉ある地位に上り詰めましたが、その経歴は充実したものである一方、多くの困難にも直面しました。

幼少期と力士としての道

出身地である青森で幼少のころから彼は宮相撲で活躍し、力士としての夢を抱いていました。旧制盛岡中学校を中退した後、高砂部屋に入門し、1905年1月場所で序ノ口から初土俵を踏むと、その後のキャリアがスタートしました。1910年には十両に昇進し、1914年1月場所でついに幕内入りを果たしました。

入幕以降、彼は「鳳キラー」として名を馳せ、特に鳳谷五郎を二度破るなど、力士としての実力を証明しました。1915年5月には小結に昇格し、1916年5月には関脇へと進みました。しかし、腎結石の影響で初日の取り組みに出場した後に全休を余儀なくされるなど、健康問題が功績に影を落としました。その後は功績が減少し、番付が下がっていきました。

相撲界への貢献と引退後

入幕前から綾川は学生相撲の普及に力を注ぎ、明治大学の相撲部師範として教鞭を執りました。また、学生相撲道場の設立も志向しており、多くの学生相撲ファンの後援を受けていました。特に、後援者たちが本場所開催中に行う熱狂的な応援は名物として広く知られていました。

1921年1月場所で全休の後、彼は現役を引退し、年寄・千賀ノ浦を襲名して千賀ノ浦部屋を創設しました。しかし、相撲よりも自身の健康に重きを置き、腎臓病の治療の一環として自彊術に取り組んだ結果、心身共に回復しました。その後は、相撲の普及に更に力を入れ、故郷でりんごサイダーの製造にも乗り出したため、部屋の経営は停止せざるを得ませんでした。

1928年にはプロレス興行の企画を立て、大日本レスリング協会の役員に就任しました。さらに、1930年から1933年にかけて監事や理事を務めましたが、悲しいことに1933年2月16日に腎臓結石により49歳でこの世を去りました。

彼の人柄とエピソード

綾川は弁舌や文筆に優れ、相撲の決まり手について解説した「一味清風」という著書を出版して話題を集めました。また、自由奔放な性格を持ち、本場所中に洋服で場所入りした際には、協会の幹部から厳重注意を受け、新調した背広も没収されるなどのエピソードも持っています。そのような彼の個性は、相撲界の文脈でも特異なものとして語られています。

四股名の「綾川五郎次」は、第2代横綱の名と同じであることから、彼がその名を意識して襲名したことが伺えます。しかし、彼と同名の横綱は栃木県出身のため、なぜこの四股名を選んだのかは不明です。主な成績としては、通算幕内成績が45勝34敗12分5預54休、幕内在位が15場所、三役在位が関脇1場、小結2場所という記録が残されています。彼の人生は、相撲の華やかさと陰影を象徴するものでした。

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