緑色のベレー帽

緑色のベレー帽：歴史と世界各国の特殊部隊

緑色のベレー帽は、世界中の特殊部隊員にとって象徴的なヘッドギアです。その起源は第二次世界大戦中にイギリス軍の特殊部隊、ブリティッシュ・コマンドスにまで遡ります。当初、コマンドス隊員は各部隊の制帽を使用していましたが、多様な帽子の混在は混乱を招きました。そこで、様々な検討を経て、第一次世界大戦以来戦車部隊や落下傘部隊でも使用されていたベレー帽が採用されることになります。

ベレー帽の色は、第1コマンド部隊の部隊章の色である緑、黄、赤の中から選ばれ、最終的に緑色が選ばれました。スコットランドのベレー帽製造会社が製造を開始し、1942年10月には海兵隊への支給が始まりました。この緑色のベレー帽は、その後、ブリティッシュ・コマンドスの伝統を受け継ぐ様々な特殊部隊で採用されていくことになります。

各国の緑色のベレー帽

イギリス: イギリス海兵隊のコマンド課程修了者や、全軍コマンド課程を修了した陸海空軍の兵士が着用を認められています。帽章は部隊によって異なります。

オーストラリア: オーストラリア陸軍コマンド部隊では、「シャーウッド・グリーン」と呼ばれる緑色のベレー帽が、コマンドー隊員としての資格を得た兵士にのみ与えられます。帽章には、黒い背景に金色のダガーと部隊のモットーが描かれています。

ベルギー: ベルギーの第2コマンド大隊や、第3落下傘大隊でコマンド課程を修了した隊員が着用します。

フランス: フランス海軍コマンドとフランス外人部隊が着用しています。着用方法は、イギリス軍とフランス軍で異なります。

オランダ: オランダ陸軍特殊部隊コマンド軍団(KCT)や、コマンド課程を修了したオランダ海兵隊が着用します。

アイルランド: アイルランド国防軍陸軍レンジャー団の特殊部隊訓練課程修了者が着用します。

ロシア連邦: 連邦保安庁傘下のロシア国境軍が着用します。

ウクライナ: 内務省傘下のウクライナ国家国境庁が着用しています。帽章のデザインは、ソ連時代から変更されています。

アメリカ陸軍特殊部隊と緑色のベレー帽

アメリカ陸軍特殊部隊群も、ブリティッシュ・コマンドスの伝統を受け継いで緑色のベレー帽を採用しています。初期には、米陸軍レンジャー部隊がコマンドス訓練施設での訓練後も、制服として採用されていなかったため着用を禁止されていました。

1950年代、特殊部隊グループが設置されると、様々な色のベレー帽が着用されるようになりました。最終的に、イギリス陸軍のライフル連隊で使用されていたライフルグリーンと呼ばれるベレー帽が採用されました。1961年には、正式に陸軍特殊部隊員の制帽として採用され、ジョン・F・ケネディ大統領もその象徴性を高く評価しました。ベトナム戦争では、緑色のベレー帽は特殊部隊員の象徴となり、精強さを示すものとして広く知られるようになりました。現在、アメリカ陸軍特殊部隊群は「グリーン・ベレー」の愛称で親しまれています。

まとめ

緑色のベレー帽は、世界各国の特殊部隊における勇敢さと精鋭さを象徴するヘッドギアです。その起源から現在に至るまで、歴史と伝統を背景に、世界中の特殊部隊員に着用され続けています。それぞれの国の特殊部隊において、微妙なデザインや着用方法の違いが見られることも、このヘッドギアの魅力の一つと言えるでしょう。

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