織田敏信

織田敏信について

織田敏信は、戦国時代に活躍した武将で、管領・斯波氏の家臣として知られています。通称として左馬助、伊勢守、大和守、備後守を名乗りました。

生涯

敏信の出自については、尾張国下四郡を治めた守護代「織田大和守家」の当主・織田敏定の嫡男であり、尾張上四郡を治めた「織田伊勢守家」の当主・織田信安の父とも言われていますが、確かなことは分かっていません。

文明17年（1485年）には、歌人の万里集九が清洲城に立ち寄り、敏信のもとで犬追物を見物したという記録が残っています。また、延徳3年（1491年）には、10代将軍・足利義稙による六角高頼征伐（延徳の乱）に、父とされる織田敏定と共に尾張守護・斯波義寛に従い出陣したとされています。さらに、明応2年（1493年）にも、斯波義寛に従って上洛し、京に滞在するなど各地で活動したことが記録されています。

敏信の没年については、岩倉市の龍潭寺にある位牌には永正14年（1517年）1月26日と記されています。戒名は「龍潭寺殿清巌常世大居士」です。一方で、『前野家文書』や「武功夜話」では、明応4年（1495年）の船田合戦で討死したとも伝えられています。また、娘は後に織田信長の父である織田信秀の側室になったとも言われています。

異説

敏信に関しては、出自や生没年について複数の説が存在します。

万里集九の詩集『梅花無尽蔵』には、敏信が長い髭を蓄えていたという記述があり、このことから、父とされる織田敏定との年齢差に矛盾が生じるため、親子関係ではなく、兄弟または従兄弟であるという説が唱えられています。

また、「清巌」という法名から、織田信長の曽祖父にあたる「西巌」とされる織田良信の父であるという説や、織田良信と同一人物であるという説もあります。この説では、敏信は初め斯波義良に仕え良信と名乗り、後に斯波義敏が守護に復帰した際に、偏諱を受けて敏信と改名したとされています。

しかし、斯波氏の守護職や家督の継承順序を考えると、この説には矛盾点があります。斯波義良（後の義寛）が「義良」と名乗っていた時期は、義敏が守護職を退いた後であり、義敏が守護職に復帰したという事実はないため、この説は疑問が残ります。


このように、織田敏信の生涯には不明な点が多く、その実像は謎に包まれています。今後の研究によって、新たな事実が明らかになることが期待されます。

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