織田敏定

織田敏定：尾張を揺るがした戦国武将の生涯

織田敏定は、15世紀後半、室町時代後期から戦国時代初期にかけて活躍した武将です。尾張国下四郡の守護代として、斯波氏に仕え、清洲織田氏（織田大和守家）の当主を務めました。織田信長の祖父とされる織田信定の父という説もありますが、確証はなく、諸説あります。

家系と出自

敏定は、尾張守護・斯波氏の被官であった織田氏の一族に属していました。その家系である「織田大和守家」は、当初「織田伊勢守家」の支流として、守護代の代理を務める「又守護代」の家系でした。しかし、敏定は伊勢守家と争い、守護代の地位を奪取。清洲城を居城とし、「清洲織田氏」と呼ばれるようになりました。母は朝倉教景の娘と伝えられています。敏定は、三郎、五郎、伊勢守、大和守といった通称を使い、常英という号を名乗っていました。子には、寛定、寛村、敏信、敏宗、良信らがおり、信定、飯尾定宗、大雲永瑞も子とする説がありますが、確かな情報はありません。また、織田信友を養子としていたという説もあります。

激動の生涯：応仁の乱から尾張統一へ

応仁元年（1467年）の応仁の乱では、尾張守護・斯波義敏と共に東軍に属し、西軍に属した織田敏広（伊勢守家）と激しく対立しました。文明8年（1476年）、斯波義敏の命を受け、下津城を攻撃、織田敏広を撃破するものの、その後は西軍優勢となり、敏定は京都に滞在したとされます。

応仁の乱終結後の文明10年（1478年）、室町幕府から尾張守護代に任命された敏定は、「凶徒退治」（西軍の斯波義廉と織田敏広）を命じられ、尾張に戻ります。美濃の土岐成頼や斎藤妙椿らの支援を受け、清洲城に入城しましたが、同年、織田敏広の反撃を受け、清洲城は一時陥落。敏定は山田庄に敗走し、この戦いで右目に矢を受け負傷したと伝えられています（實成寺所蔵の寿像にその痕跡が残されています）。

文明11年（1479年）、斎藤妙椿の仲介により、尾張を分割統治することで和睦。大和守家は尾張南東部を支配することとなりました。その後、斯波義寛と共に京都に滞在しながらも、文明13年（1481年）には伊勢守家と再び争い勝利、織田敏広の死後、その養子・織田寛広らも斯波義寛に帰順しました。同年、敏定は足利義政に尾張平穏の報告と献上を行い、その功績を認められました。

長享元年（1487年）の長享の乱、延徳3年（1491年）の延徳の乱にも斯波義寛に従軍し、戦功を挙げました。しかし、伊勢守家との対立は続き、明応4年（1495年）7月、布陣中に病死または戦死しました。享年44歳。戒名は「蓮光院殿常英大居士」です。

日蓮宗との深い関わり：清洲宗論

敏定は熱心な日蓮宗信徒であり、文明13年（1481年）、大和守家の宗派を決定するため、身延山久遠寺と京都本圀寺を清洲城で論争させました（清洲宗論）。本圀寺が勝利し、敏定はその後も日蓮宗寺院である長久山實成寺を庇護しました。

織田敏定の評価

織田敏定は、応仁の乱という激動の時代を生き抜き、尾張の支配権を巡る激しい争いを繰り広げた武将でした。幾多の戦を経て、最終的には尾張下四郡を支配する守護代として、斯波氏に仕え、その勢力を拡大しました。日蓮宗への信仰も深く、その生涯は、戦乱と信仰の両面から、戦国時代の混沌とした状況を象徴する存在として捉えることができます。彼の功績や行動は、後の織田氏、ひいては織田信長へと繋がる重要な歴史的背景となっています。

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