羅通

羅通（ら つう、1390年 - 1470年）は、明代の官僚であり、軍人としても活躍した人物です。字は学古といい、本貫は吉安府吉水県にありました。

1412年、羅通は進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。監察御史に任じられると、その職務を忠実にこなし、巡按四川として地方の不正を摘発しました。都指揮の郭贇と清軍御史の汪琳中が結託して不正な利益を得ていたことを知ると、羅通は彼らを弾劾する上奏を行い、その正義感を示しました。

1421年、奉天殿・華蓋殿・謹身殿の三殿で大火災が発生すると、羅通は同僚の何忠らとともに、当時の政治の失態について大胆にも諫言しました。しかし、この行動が永楽帝の逆鱗に触れ、交趾清化知州へ左遷されるという憂き目に遭います。

1426年、王通が黎利の反乱軍に敗北すると、羅通は清化迤南の放棄を命じられます。反乱軍が清化を包囲する中、羅通は指揮の打忠と共に城を堅守。隙を見て出撃し、反乱軍に大きな打撃を与えました。王通からの撤退命令が届いても、羅通は城を捨てることを拒否し、打忠と共に清化を守り抜きました。反乱軍は長らく清化を攻略できなかったため、降伏した蔡福を使って降伏を勧告しましたが、羅通は城壁の上から蔡福を罵倒。反乱軍は結局、清化を陥落させることを諦め、撤退しました。羅通はその後、北京に召還され、宣徳帝からその功績を称えられました。

1432年、戸部員外郎に転任した羅通は、宣府に赴任し軍の食糧を監理しました。開平への軍糧輸送に関しては、騎士による護送を廃止し、米と塩の交換を許可するよう上奏し、宣徳帝の許可を得ました。これにより、輸送の効率化に貢献しました。

正統年間初期、羅通は兵部郎中に転じ、尚書の王驥に従い甘粛の軍務を整理しました。1438年には、王驥に従い兀魯乃でアダイ・ハーンを破る戦功を挙げます。しかし、凱旋後、羅通は王驥から貪淫の罪で告発され、獄に下され広西容山閘官に左遷されるという不運に見舞われました。その後、東莞河泊の官に転任しています。

1444年、都督僉事の曹倹が羅通の文武両面にわたる才能を評価し推薦しましたが、吏部には認められませんでした。

1449年、郕王朱祁鈺が監国となると、羅通は于謙と陳循の推薦により、兵部員外郎として再起用され、居庸関の守備を任されました。その後、兵部郎中に進みます。景泰帝（朱祁鈺）が即位すると、羅通は右副都御史に抜擢されます。オイラトのエセン・ハーンが北京に侵攻を図り、別部隊が居庸関を攻撃してきた際、羅通は厳寒の時期に水を引いて城外に注ぎ、氷の壁を作り敵の接近を阻止しました。7日後に敵が撤退すると、羅通は追撃し、これを撃破しました。

1450年、羅通は北京に召還され、楊洪が監督していた京営の参軍務と兼理院事を命じられます。彼は辺境からの軍事報告に誇張が多いと指摘し、于謙や石亨の解任を求める上奏を行います。しかし、給事中の覃浩らの言によって、羅通は理院事の兼務を解かれてしまいます。

1451年、賛軍務のまま北京に召還された羅通は、1452年に皇太子が朱見深から朱見済に改められると、太子少保の位を加えられました。1453年には賛軍務のまま右都御史に昇進しました。

羅通はしばしば大言を吐き、人に会うたびに軍事について語りました。自ら反乱者を殺した功績を述べ、武職の世襲を求めましたが、給事中の王竑に弾劾されます。しかし、景泰帝はこれを不問としました。天順年間初期には、羅通は自らが英宗の帰国に貢献したと主張しました。

1459年、羅通は官職を辞し、1470年3月にその生涯を閉じました。

羅通は、文官としても武官としても優れた能力を発揮し、波乱に満ちた生涯を送った人物と言えるでしょう。

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