義渠

義渠の歴史とその重要性

義渠（ぎきょ）は、中国の春秋戦国時代に存在した遊牧国家で、オルドス地方に位置していました。この国は、岐山、梁山、涇水、漆水の北側に居住していたと考えられています。義渠の移動性の高い生活様式と、多様な文化が折り重なり、周囲の国家との複雑な関係を生み出しました。

春秋戦国時代の義渠

義渠はその歴史の中で、重要な外交的および軍事的な出来事に関わっています。紀元前471年には、贈り物を抱えて秦に朝貢に訪れる場面が記録されています。この訪問は、義渠が持つ独自の地位を示すものです。しかし、義渠と秦の関係はその後、緊張へと移行していきます。

紀元前444年には秦が義渠を攻撃し、その王を捕らえました。この戦闘は、義渠の存続を脅かし、両国間の緊張関係を一層深めることになります。さらに、紀元前430年には義渠が秦に侵攻し、渭水の南にまで進出しましたが、秦との戦争は状態を変えられませんでした。

内乱と秦の干渉

内乱は紀元前331年に義渠で発生し、これに秦の庶長操が出兵して平定に乗り出しました。この内乱の影響で、義渠は次第に秦の影響下に置かれることになります。紀元前327年には、義渠が秦に組み込まれ、義渠君は秦の臣下となりました。

その後、義渠君は魏に朝貢することになり、秦と魏の関係の中で義渠の立場は一層難しくなります。公孫衍が指摘したように、秦は他国に対して貴国を重視する姿勢を持ち、時には贈り物をもって接していました。しかし、実際には義渠が持つ相対的な地位は脆弱でした。

各国連合軍と義渠

紀元前318年、義渠は楚、魏、斉、韓、趙の五カ国連合軍による秦への攻撃に関連して、秦の恵文王から賄賂を受け取るよう勧められました。この動きは、義渠の外交戦略がいかに複雑であったかを物語っています。賄賂として渡された贈り物に応じて、義渠君は秦に攻撃を仕掛けるも失敗し、結果的に義渠はますます追い詰められることとなりました（函谷関の戦い）。

秦による最終的な滅亡

紀元前315年には、秦が義渠を攻撃し、25の城を奪取しました。そして、紀元前310年には再度攻撃が行われ、義渠はその存在を脅かされます。秦の昭襄王の時代には、義渠の戎王が秦の宣太后と関係を持ち、二人の子を設けますが、最終的には宣太后に誘い出されて殺害されます。この事件は、義渠の運命を決定づける重要な出来事となります。

その後、義渠は滅ぼされ、秦は義渠の故地に北地郡を設置し、長城を築いて北方民族からの侵入を防ぐ基盤を整えました。義渠の滅亡は、この地域の歴史における一つの転機であり、秦の領域拡大の一環として位置づけられます。

このように、義渠の歴史は春秋戦国時代の国々の複雑な関係を反映しており、その動向は、当時の政治状況を理解する上で不可欠な要素となっています。義渠の物語は、権力の変遷や外交の攻防、内乱と外圧の相互作用を通じてひも解かれます。

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