遊牧国家

遊牧国家とは

遊牧国家とは、遊牧民が支配階層を形成し、組織された国家を指します。集約農耕が困難な乾燥地帯が広がる中央アジアやイラン高原などに多く存在しました。これらの地域では、遊牧による牧畜が主要な生業手段となり、それが国家のあり方にも深く影響を与えました。

遊牧国家の歴史

遊牧国家の歴史は古く、紀元前9世紀の中央ユーラシアに存在したキンメリアやスキタイにまで遡ります。しかし、これらの遊牧民は定住することが少なかったため、国家としての実態は不明確です。イラン高原では、ペルシア系の民族が団結し、紀元前6世紀にアケメネス朝を成立させ、遊牧国家の基礎を築きました。

本格的な遊牧国家としては、8世紀に誕生した回鶻可汗国が挙げられます。回鶻可汗国は、遊牧国家として初めて都城を建設し、国家体制を整えました。そして、その後に現れたモンゴル帝国の成立によって、遊牧国家は完成の域に達しました。

モンゴル帝国の影響

モンゴル帝国は、北ユーラシアを征服し、空前の大国家を築き上げました。この帝国の出現は、東西を結びつけ、世界史という概念が生まれる要因となりました。モンゴル帝国の体制は、パクス・モンゴリカと呼ばれる平和と繁栄の時代をもたらしました。

しかし、広大なモンゴル帝国は、領土の分割相続や部族間の対立などにより、次第に統一性を失い、わずか1世紀余りで分裂しました。それでも、モンゴル帝国の遺産は、その後の歴史に大きな影響を与えました。

主な遊牧国家

以下に、主な遊牧国家を地域別に列挙します。

モンゴル高原

柔然可汗国
突厥可汗国
東突厥可汗国
回鶻可汗国
モンゴル帝国

中央アジア

マッサゲタイ
烏孫国
康居国
奄蔡国
大月氏国
クシャーナ朝
悦般国
エフタル
西突厥可汗国
カルルク葉護国
カラハン朝
オグズ
西遼
ナイマン
チャガタイ・ハン国

西アジア

アケメネス朝ペルシア
パルティア王国
サーサーン朝ペルシア
セルジューク朝
イルハン朝
ティムール朝

キプチャク草原

キンメリオイ
スキタイ
サウロマタイ
サルマタイ
フン
アヴァール可汗国
ブルガール
ハザール可汗国
ペチェネグ
キプチャク
* ジョチ・ウルス

これらの遊牧国家は、それぞれの時代と地域において、独自の文化や政治体制を築き上げ、歴史に大きな足跡を残しました。

もう一度検索