羽仁吉一

羽仁吉一（はに よしかず）

羽仁吉一は、1880年5月1日に山口県三田尻（現在の防府市）で生まれ、1955年10月26日に亡くなった日本のジャーナリストであり、教育者です。妻の羽仁もと子と共に、独自の教育理念に基づく自由学園を創立したことで知られています。

生い立ちとジャーナリズムへの道

羽仁吉一は、戦国時代に厳島神主家に仕え、後に長州藩士となった羽仁家の一族に生まれました。羽仁家は毛利水軍の船倉取締の家柄であり、父の鶴助は庭造りの名人として知られていました。幼少期は華浦小学校で学び、その後、漢学塾の周陽学舎で学びました。上京後、ジャーナリストの矢野龍渓の書生となり、1900年に報知社（後の報知新聞社）に入社しました。翌年には『報知新聞』の編集長に就任しますが、同じ報知新聞の記者であった松岡もと子（後の羽仁もと子）と結婚し、退社しました。その後、新潟の高田新聞社の主筆支局長を務めました。

教育者としての活動

1902年に東京に戻り、1903年には『家庭之友』を創刊しました。この雑誌は後に『婦人之友』として知られるようになります。1921年、羽仁吉一は妻のもと子と共に自由学園を創立し、学園主として教育活動に力を注ぎました。森まゆみ氏の言葉によれば、羽仁吉一は若い頃から優れた才能を持ちながら、それを表に出すことはなく、学園の重要な決定や経営は主に彼が担っていたとされています。

社会活動と晩年

1930年には、妻のもと子と共に全国友の会を創立し、社会貢献活動にも取り組みました。1935年には、羽仁もと子がヨーロッパから帰国後、友の会を中心に東北の飢餓救済に奔走する一方で、羽仁吉一は東久留米市（当時は南沢学園都市）の分譲と自由学園の造園に専念しました。1955年、心筋梗塞によりその生涯を閉じました。葬儀では、当時の男子部委員長であり、学校法人自由学園の理事長を務めた市岡楊一郎がお別れの言葉を述べました。羽仁吉一の墓所は雑司ヶ谷霊園にあります。

著書

羽仁吉一は、以下の著書を遺しました。

『雜司ヶ谷短信』婦人之友社, 1956.7
『我が愛する生活』自由学園男子部開学五十周年記念出版委員会 編纂. 自由学園出版局, 1985.10
『自由人をつくる 南沢講話集』羽仁もと子共著, 自由学園創立七十周年記念出版委員会 編纂. 自由学園出版局, 1991.4
『真理によって歩む道 羽仁吉一・もと子と語る座談集』婦人之友社建業百周年記念刊行委員会 編. 婦人之友社, 2003.4

関連人物

羽仁吉一の生涯には、以下の人物が深く関わっています。

羽仁もと子（妻）
羽仁五郎（子）
羽仁翹（子）
天野貞祐
矢野龍渓
植村正久
安部磯雄
水木楊
羽仁説子
羽仁未央
羽仁進
羽仁知治

外部リンク

自由学園
婦人の友社
* 全国友の会復興財団

羽仁吉一は、ジャーナリストとしての経験を活かし、教育者として多くの人々に影響を与えました。自由学園の創立と運営を通じて、独自の教育理念を実践し、社会に貢献した人物として記憶されています。

もう一度検索