羽柴誠三秀吉

日本の実業家、そして特異な政治活動家として知られる羽柴誠三秀吉（本名：三上誠三、別名：羽柴秀吉）は、1949年 10月11日に生まれ、2015年 4月11日に65歳でその生涯を閉じました。青森県五所川原市（旧北津軽郡金木町）の出身です。

実業家としての軌跡

若き日、故郷の住職から「戦国武将の豊臣秀吉の生まれ変わりだ」と言われたことが、後に「羽柴秀吉」の名を名乗るきっかけになったとされています。中学卒業後、出稼ぎで得た資金を元手に1970年に運送会社を創業。わずか27歳にして青森県の高額納税者リストに名を連ねるほどの成功を収めました。その後は事業を拡大し、羽柴企業グループの社主として旅館「秀吉のやかた」を運営する羽柴観光小田川温泉株式会社や、東北興産建設株式会社などを経営しました。独自の経営哲学を持ち、例えば「女性を口説く情熱の半分を仕事に傾けよ」といった言葉を残しています。

ユニークな人物像とエピソード

彼の自宅は大阪城や日本の国会議事堂を模したユニークなデザインでした。金箔を食べるなどの派手なパフォーマンスや成金趣味的な振る舞いはしばしばメディアに取り上げられました。また、故郷の五所川原市役所向かいのビルには、「大阪城攻略」という挑戦的なネオン看板を掲げていた時期もありました（現在は撤去済）。イオンド大学の名誉教授という肩書きも持っていました。彼の次男はタレント・俳優の三上大和氏です。2009年には、私有地に3500万円をかけて対北朝鮮用と称するミサイル基地を建設したと報じられましたが、設置された14基のミサイルは実体のないハリボテであったことが後に明らかになっています。

政治への絶え間ない挑戦

実業家としての成功を収める傍ら、政治活動にも強い関心を示し、自由連合では幹事を務めました。1976年の地元金木町長選挙に本名の三上誠三として初出馬しましたが落選し、公職選挙法違反で逮捕される経験をしています。この時の挫折にも屈せず、1999年の東京都知事選挙を皮切りに、長野県知事、大阪府知事、参議院、衆議院、大阪市長など、日本各地の様々な選挙に多数挑戦しました。しかし、一度も当選することは叶いませんでした。彼の選挙活動は非常に派手で、ヘリコプターを使った上空からの演説や、金箔で装飾された武士の鎧兜姿の選挙ポスターなどで注目を集めました。また、選挙のキャッチコピーとして「輝く（地名）新時代」を多用しました。本人の語るところによれば、最終的な目標は「大阪城奪還」、すなわち大阪府知事への就任であり、国政選挙や東京、長野での出馬は、通称として「羽柴秀吉」の名を認めさせるためであったといいます。

主な選挙戦の軌跡

数多くの選挙戦の中でも、特に記憶に残る挑戦がいくつかあります。2005年の五所川原市長選挙では、本名で立候補し、供託金を没収されないほどの善戦を見せました。また、2007年の夕張市長選挙では、実際に住民票を移して臨み、大企業誘致や閉鎖された温泉施設の私財による再開といった具体的な公約を掲げました。この選挙では、有力候補としてマスコミにも報じられ、次点候補にわずか342票差まで迫る最も善戦した選挙となりました。選挙後には夕張での事業展開構想を発表し、炭鉱復活を目指す会社を設立しましたが、これは実現に至りませんでした。同年の参議院選挙（北海道選挙区）にも出馬し、当選には至りませんでしたが、10万票を超える票を獲得するなど国政選挙でも健闘を見せ、特に農村部の高齢者層からの一定の支持を得ていました。大阪府知事選挙への出馬意向を示すことも複数回ありましたが、いずれも最終的には撤回しています。2009年の田子町長選挙では大敗を喫しましたが、報道によれば300億円とも言われる総資産を持つ彼にとって供託金の没収は大きな痛手ではなかったとされています。2011年の夕張市長選挙が最後の選挙戦となりましたが、この時も当選には至らず、「バカな市民にはかまっていられない」と夕張からの撤退を示唆しました。また、この年の大阪府知事選挙への出馬も表明しましたが、肺癌の手術を理由に告示前に断念しています。彼の選挙活動は、ドキュメンタリー映画『立候補』でも取り上げられています。

経営施設の火災

彼が経営する施設では火災が相次ぎました。特に、五所川原市にある旅館「秀吉のやかた」は、小田川温泉として営業し、選挙期間中は事務所としても利用されていましたが、過去に二度も全焼しています。最初は平等院鳳凰堂を模した建物が2000年に全焼し、国会議事堂を模して再建されるも2010年に再び全焼しました。その他にも、東北興産建設の炭選別作業所や、黒石市で経営していたラブホテルが閉鎖後に不審火で全焼しています。

著作活動と晩年

実業家として、また政治活動家として知られる一方、『天下の経営戦略』という書籍を出版したり、音楽CD『夕張の人』をリリースしたりと、著作活動も行っていました。2011年の夕張市長選挙後は病気療養に入り、公の場での活動を控えるようになりました。2015年 4月11日、肝硬変のため、故郷の五所川原市内の病院で静かに息を引き取りました。

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