羽根盛一

羽根盛一（はね せいいち）

羽根盛一は、1898年（明治31年）12月19日に生まれ、1974年（昭和49年）に没した、昭和期の内務官僚、政治家です。彼は、官選の富山県知事、そして公選の福井県知事を務めました。

生い立ちと学歴

三重県多気郡で、羽根貞助の長男として生まれた羽根盛一は、幼少期に富山県上新川郡大沢野村（現在の富山市）に移り住みました。立命館中学校、大阪市立高等商業学校を経て、1927年には京都帝国大学経済学部を卒業。その後、立命館大学で助教授を務めました。

内務官僚としてのキャリア

1929年、羽根盛一は内務省に入省し、岐阜県属としてキャリアをスタートさせました。その後、高知県、栃木県、新潟県、愛知県で警察部長などを歴任し、地方行政の中枢を担いました。

1947年2月には、官選第35代富山県知事に就任しました。これは、官選最後の知事であり、いわゆる公選管理知事でした。しかし、同年4月には依願免本官となり退官。その後、特別高等警察に関係していたため公職追放となりました。

福井県知事としての活躍

公職追放解除後の1951年、羽根盛一は福井県副知事に就任し、行政の第一線に復帰しました。1955年3月に副知事を退任後、知事選挙で見事当選を果たし、同年4月26日に福井県知事に就任しました。

当時の福井県は緊縮財政下にあり、羽根知事はその財政再建に尽力しました。また、国道305号線・越前海岸付近にある洞穴を、観光客を誘致するシンボルとして「呼鳥門」と命名したことでも知られています。この名前は、鳥を呼ぶように観光客を呼び込みたいという思いが込められています。

羽根盛一は、1959年4月22日に福井県知事を退任しました。その後は、吉崎ヘルスセンターの会長を務めました。

著書・訳書

羽根盛一は、著書として『軍需増産指導推進の実情』を執筆しました。また、訳書として、エー.イー.バック著『都市財政論』を1930年に翻訳しています。

参考資料

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 福井新聞社百科事典刊行委員会編『福井県大百科事典』福井新聞社、1991年。

羽根盛一は、激動の昭和時代を、内務官僚、そして政治家として力強く生きた人物でした。彼の足跡は、日本の地方行政史において重要な意味を持っています。

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