翟方進

翟方進 - 前漢時代の政治家

翟方進（てき ほうしん）は紀元前7年に亡くなった前漢の著名な政治家で、汝南郡出身です。彼は字を子威といい、家柄は初めは謙遜でしたが、父の努力によって学問が尊重されました。父を失った彼は若干12, 13歳で太守府の小吏として働き始めましたが、無能とされ、同僚から軽んじられていました。

しかし、汝南の有名な人物蔡父の助言により、翟方進は長安に赴き、儒学の道を学ぶことになります。継母の支えもあり、学問に励み、周囲からの評価も高まり、次第に地位を上げていきました。彼は博士としての地位を得た後、朔方刺史や丞相司直と昇進を果たしました。特に丞相としては、優れた判断力と毅然とした行動をもって知られます。

河平年間の出来事の一つに、彼が皇帝に従い甘泉に向かう際、司隷校尉の陳慶により弾劾を受けた事件が挙げられますが、翟方進は陳慶の過去の不正を暴き、彼を罷免に追いやりました。このように、彼は威厳ある地位にある官僚に対しても恐れることなく自らの信念を貫く姿勢を持っていました。結果として、彼の正義感は多くの大臣たちから尊重され、特に丞相薛宣からは「近いうちに彼は丞相になるであろう」と認められています。

晋卒の汚職問題においても、翟方進は果敢に立ち上がり、皇帝の信任を得るようになりました。経済的な問題に対して厳格に対処しその手腕を示した彼は、京兆尹に任命されました。この職においては、友人の助言を受け、若干の柔軟性を持つようになりました。

永始2年、彼は御史大夫へと昇進しましたが、業績により再び左遷されることとなりました。しかし、丞相の薛宣が罷免された後、再度彼が丞相として選ばれ、高陵侯の称号を与えられました。丞相としての翟方進は、厳格な政治で著名な官僚たちを弾劾し、外戚王氏との対立を続けましたが、同時に淳于長と良好な関係を築くことも忘れませんでした。

翟方進は儒学と法律の両面に精通し、天文に関しても優れた知識を持っていました。彼の政策により、皇帝からの信任は厚く、その結果として特に大きな権限を持つ存在となっていました。しかし、綏和2年に天文学的な異変が発生した際、彼は厳しい叱責を受け、最終的には自害を余儀なくされました。この皇帝の決断は翟方進の名声を落とさないためのものであり、多くの人々から支持されていた彼に対して遺憾の意を表すものでした。

翟方進の死後、彼は恭侯と諡され、彼の息子翟宣が地位を継ぎました。彼の弟翟義は後に反乱を起こしましたが敗北し、王莽政権によって翟方進の家族は厳しく処罰されました。翟方進は学問の面でも『春秋穀梁伝』や『春秋左氏伝』などに精通し、天文に関しては田終術からも学びました。彼の存在は前漢時代における政治の重要な側面として残っています。

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