耶律雅里

耶律雅里（やりつ がり）

耶律雅里（やりつ がり、契丹音：ヤリュート・ヤーリ）は、北遼の第3代皇帝であり、激動の時代を生きた人物です。

生涯

天祚帝の次男として生まれた雅里は、母に蕭元妃（小字は貴哥。蕭奉先と蕭皇后の妹）を持ちます。7歳の時に父帝から梁王に封じられました。

北遼建国と雅里の即位

保大2年（1122年）2月、父である天祚帝が入来山で金の太祖に大敗し、長春へ逃れるという事態が発生しました。この混乱に乗じて、3月には皇族の耶律大石らが李処温らと共に、雅里の従大叔父にあたる耶律淳を擁立し、天祚帝を「湘陰王」に格下げして「北遼」を建国しました（天錫帝）。

しかし、天錫帝は同年6月に61歳で崩御。その後、皇后であった徳妃蕭普賢女が摂政となり、天祚帝の五男である秦王耶律定が皇太子として擁立されます。

保大3年（1123年）正月、金の太祖は北遼の都である南京を陥落させます。耶律大石らは蕭普賢女を奉じ、長春から雲中の陰山に移動していた天祚帝を頼りました。しかし、天祚帝は蕭普賢女に対し、自分に無断で天錫帝を擁立し、自身を「湘陰王」に格下げした罪を問い、陰山に逃れてきた2月に処刑してしまいます。

皇帝として

同年5月、天祚帝に絶望した耶律大石ら遼の重臣たちは、再び「北遼」を建てることを決意し、父帝から自立した雅里を皇帝として擁立しました。こうして雅里は皇帝に即位しますが、同年10月に崩御しました。享年31歳という若さでした。

雅里の崩御後、重臣たちは天錫帝の従弟である耶律朮烈を擁立しました。

雅里は短期間の在位でしたが、激動の時代における北遼の皇帝として、その名を歴史に刻んでいます。

脚注

『遼史』巻三十
『松漠紀聞』

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