聖徳王

聖徳王：新羅の繁栄と危機の時代を生き抜いた王

聖徳王は、新羅第33代王として702年から737年まで治世しました。737年に崩御するまで、国内外の様々な出来事を経験し、新羅の歴史に大きな足跡を残しました。本稿では、聖徳王の生涯と治世について詳細に見ていきます。

生涯

聖徳王は、金興光を諱とし、元々は隆基と名乗っていましたが、唐の玄宗皇帝と同名であったため、712年に改名されました。神文王の第二王子であり、母は金欽運の娘である神穆王后です。王妃は金順元の娘の炤徳王后でした。同母兄である孝昭王が後継ぎを残さず702年に亡くなったため、聖徳王が王位を継承しました。

唐との外交と渤海への対応

孝昭王の崩御後、聖徳王は唐から様々な爵号を授かりました。玄宗皇帝の即位後も、その関係は強化され、高い地位と名誉を与えられました。721年には、渤海の脅威に対抗するため、北辺に長城を築造するなど積極的な外交政策を展開しました。733年には、渤海が唐の登州を攻撃した際、唐の勅命を受けて渤海の南部を攻撃する軍事行動に出ました。この軍事行動は、悪天候や地理的条件によって失敗に終わりましたが、新羅と唐の連携は維持されました。735年には、唐から浿江以南の領有を正式に認められました。聖徳王は、唐への朝貢を頻繁に行い、王子や王弟を唐に派遣するなど、文化交流にも尽力しました。これにより、新羅は唐から多くの文物を取り入れることができました。記録によると、704年3月には『最勝王経』、717年9月には「十哲七十二弟子図」が新羅にもたらされました。

日本との関係

一方、日本に対しては警戒を強めました。722年には、毛伐郡城を築いて防衛体制を強化し、731年には日本の襲来を撃退するなど、軍事的な対抗措置も講じました。

国内政策

聖徳王は、国内政策にも力を注ぎました。中央官僚機構の整備を行い、礼部の下に典祀署を創設、詳文司を通文博士に改称するなど、効率的な行政運営を目指しました。また、医博士・算博士の創設も図りました。新羅の中央貴族の代表である上大等についても、在位中の退任を初めて許可するなど、改革を進めました。これは、貴族連合政体の弱体化と王権強化を意味する出来事でした。

705年と706年には大飢饉が発生し、多くの人々が餓死しました。聖徳王は、被災民への施しを行いました。この飢饉の規模は相当なものだったと推測されています。聖徳王の治世中には、他にも度々の天変地異に見舞われました。

死後

聖徳王は36年間の治世の後、737年2月に崩御しました。移車寺の南に埋葬され、死後、唐からは高い官爵を追贈されました。

聖徳王の評価

聖徳王の治世は、唐との緊密な外交関係、渤海への対抗、そして日本との軍事衝突など、外交と軍事両面で大きな出来事が多く見られました。国内では、大飢饉への対応や官僚機構の改革など、様々な政策が実施されました。これらの功績と課題から、聖徳王は新羅の歴史において重要な役割を果たした王として評価できます。彼の治世は、新羅の繁栄と危機が複雑に絡み合った時代であったと言えるでしょう。

参考文献

『三国史記』
『完訳 三国遺事』
井上秀雄『古代朝鮮』
『朝鮮史』

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