聖霊の第三の波

聖霊の第三の波

聖霊の第三の波（The Third Wave of the Holy Spirit）は、1980年代から1990年代にかけて福音派の中で展開された聖霊運動を指す言葉で、フラー神学校の教授ピーター・ワーグナーが提唱したものです。この用語は、アルビン・トフラーが提唱した「第三の波」とは全く異なる概念です。第三の波は、1960年代に起きた狭義のカリスマ運動とは異なり、外部の教団や教派からはペンテコステ派とともにカリスマ運動と見なされることが多いものの、内実は独自の運動として存在します。

背景

聖霊の運動は、アメリカで始まったペンテコステ運動が「第一の波」とされ、その後1960年代のカリスマ運動が「第二の波」と位置付けられています。1980年代に入ると、聖霊の第三の波が台頭し始めました。ワーグナーによれば、この第三の波は第一と第二の波を統合したものでありながら、ペンテコステ派やカリスマ派という名称を拒否し、福音派の中での新しい運動とされています。1998年当時、ディビッド・バレットは、この波の中にいる信者の数を2700万人と推定しています。

特徴

聖霊の第三の波の独自性には、聖霊のバプテスマが新生時に現れると教える点が挙げられます。また、異言については否定しないものの、特に強調しない姿勢も特徴的です。これらの点は第三の波ならではの特徴です。

日本での展開

日本においては、フラー神学校でワーグナーやチャールズ・クラフトから学んだ尾形守によって第三の波が紹介されました。1990年代には、アルゼンチンで活躍したカルロス・アナコンディアが日本に度々訪れ、「力の伝道」として悪霊からの解放やいやしの教えを広めました。

1993年11月には、滝元明が主導する全日本リバイバルミッションが兵庫県の甲子園球場で開催され、多くの信者が集まりました。このリバイバルミッションは、日本の教会における一つの勢力と化し、その後も同名の集会が開催されました。集会の性質はカリスマ派や第三の波の影響を受けることが多くなり、日本の福音派からは距離を置かれるようになりましたが、一部の牧師は聖霊派と福音派の調和を目指しています。

1994年にカナダのトロントで発生した「トロント・ブレッシング」という現象では、会衆が倒れたり、笑い転げたりする姿が見られ、これが世界の教会、特にイギリスの教会へ大きな影響を及ぼしました。この現象も1990年代後半に日本の教会に紹介されました。

1996年には、ペンテコステ派、カリスマ派、聖霊の第三の波を含む教会が結束を目指して「日本リバイバル同盟」が設立されました。この団体は自らを日本キリスト教協議会や日本福音同盟に対抗する第三の勢力と位置付けています。

まとめ

聖霊の第三の波は、1980年代から90年代にかけて進行した福音派の中での新しい聖霊運動として、特定の教派の枠を超えて、多くの信者に影響を与え続けています。これにより、信仰の表現や体験が多様化し、更なる教会の成長や成熟につながっていると言えるでしょう。

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