自由日本放送

自由日本放送とは

自由日本放送（じゆうにほんほうそう）は、1950年代前半に設立された地下放送局であり、日本共産党の一派である所感派に基づいています。この放送局は主に中国に亡命していた北京機関の指導を受けて設立され、当初は中央の政治的なメッセージを日本国内に伝えることを方針としていました。

開局の経緯

自由日本放送は、1952年5月1日に正式に開局され、放送は北京市西単区から行われました。この放送局の設立は1951年頃から進められており、その際に放送局の名前を「自由日本放送」と決定したのは伊藤律氏でした。実際の放送内容の制作や管理は、日本放送協会（NHK）のレッドパージにより追放された藤井冠次氏が担当し、彼の実務により放送が本格化しました。

放送の開始時には、モスクワで録音された「インターナショナルのカラオケ」が使用され、これは放送局の理念を象徴する曲として流れました。また、中波放送の開始時には「平和を守れ」という合唱団の歌も放送されたことがあります。

放送の内容と時間

自由日本放送の初期の放送は、20時30分から21時までの30分間の枠が中心でしたが、中波放送が始まると、放送時間が拡大しました。具体的には以下のような番組が編成されました：

• - 05:30-06:00 ニュース・歌・解説（前日の再放送）
• - 20:30-21:30 ニュース・歌・解説
• - 22:00-22:30 ニュース・文芸・音楽
• - 22:30-22:50 学習の時間（党活動家向けの特別放送）
• - 23:30-24:00 文芸・音楽など（再放送）

放送の歴史

自由日本放送は1952年に短波放送を開始し、翌年の1953年春には中波放送も導入しましたが、放送は1955年の12月31日をもって終了しました。この短い期間においても、自由日本放送は日本国内の共産党支持者や、政治的情報を求めるリスナーにとって貴重な情報源となりました。

関連資料

自由日本放送に関する研究として、兵本達吉による『日本共産党の戦後秘史』や、藤井冠次による『伊藤律と北京・徳田機関』などがあります。これらの文献は自由日本放送の歴史や役割を理解する上で重要な資料ですが、内容には信憑性に関する注意が必要とされています。

終わりに

自由日本放送は、日本の放送史における特殊な位置づけを持っており、所感派の思想や活動を反映したユニークなメディアでした。これにより、当時の政治的状況や国際関係を背景にした情報発信が行われたことは、現代においても注目に値するテーマです。

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