能代丸 (特設巡洋艦)

能代丸の歴史と役割

能代丸（のしろまる）は、1930年代に日本郵船が所有した貨物船であり、特に第二次世界大戦中には特設巡洋艦や特設運送船として使用されました。船の起工は1933年12月で、1934年に竣工し、ニューヨーク航路での運航を開始しました。この航路では、往航に生糸やフィリピン産の鉱石、帰路には鋼材や綿を運ぶ重要な役割を果たしましたが、戦争の影響で次第に航路は縮小されていきました。

特設艦としての転用

1941年5月、日本海軍に徴傭された能代丸は、7月には特設水上機母艦として入籍され、横須賀鎮守府に属しました。しかし、同名の小型トロール船が存在したため、便宜上「能代川丸」とも呼ばれました。艤装工事を経て特設巡洋艦としての役割も与えられましたが、その期間は短く、8月には特設運送船へと変更されました。

特設巡洋艦として、能代丸は横須賀警備戦隊の旗艦を務め、新編成の第二海上護衛隊に属します。この期間には数多くの護衛任務を行い、特にラバウル方面への重要な輸送を実施しました。8月中旬からは特設運送船として再編され、輸送作戦に従事しました。

戦時活動と遭遇した危機

1943年1月、能代丸はラバウルで空襲を受け、一部損傷を受けましたが、応急修理を行い再び輸送任務に戻ります。しかし、1944年には再度の攻撃を受け、特にアメリカ潜水艦の攻撃によってさらに損傷を受けました。このように、戦時中は常に危険と隣り合わせの任務を遂行していたのです。

5月には、ボーキサイトを積載し、重要な船団に参加しました。戦局が厳しくなる中でも能代丸はその任務を果たし続けました。

最後の沈没

1944年9月、能代丸はマニラに到着し、応急修理を行っていましたが、9月21日にアメリカの空襲を受け、艦橋に命中弾があり、火災が発生しました。火災は船体を深刻に損傷させ、最終的に1944年9月24日、マニラ港近くの海底に沈没しました。この沈没地点は北緯14度33分01秒、東経120度57分05秒の位置に記録されています。

能代丸は、特設艦として多くの歴史的な任務を遂行した結果、最後は戦火の中でその生涯を終えました。その戦歴は、多くの艦船が戦争に捧げた犠牲の一つとして記されることとなります。

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