神戸市中央区脇浜海岸通:工業地帯からウォーターフロント都市へ
神戸
市中央区に位置する脇浜海岸通は、東を
灘区と接し、南は海に面した地域です。一
丁目から四
丁目、および
丁目を持たない区域から構成され、
阪神・淡路大震災以前は
神戸製鋼所や
川崎製鉄といった大規模工場が立ち並ぶ臨海工業地帯でした。しかし、震災後の大規模な再開発事業によって、その様相は大きく変化しました。
地理:HAT神戸の中核を担うエリア
脇浜海岸通は、中央区臨海部の最東端に位置し、東北東から西南西に長く伸びる形状をしています。東は
灘区の摩耶海岸通、北東は
灘区の岩屋南町、北は脇浜町、北西は
南本町通、西は
真砂通と隣接し、南側は生田川と
神戸港を挟んで
小野浜町に接しています。HAT神戸の一部を構成しており、東部(一・二
丁目)は主に公共施設や研究機関が集中する業務・研究地区、西部(三・四
丁目)はHAT神戸の住宅団地である「HAT神戸・脇の浜」を中心とした
住宅地区となっています。
用途地域は、東端と西部が第一種住居地域、北東端と北西部が
準工業地域、中央部北寄りが
商業地域、東部の海沿いは近隣
商業地域に指定されています。
丁目は、一
丁目から四
丁目までと、
丁目表示のない区域が混在しています。阪神高速3号神戸線が北端を南北に横断しており、その高速道路より北側に位置する狭い区域は、
丁目表示が無く、町名の下に直接街区符号が付されています。
主な施設としては、一
丁目に
兵庫県立美術館「芸術の館」、
国際健康開発センタービル(WHO神戸センターなど)、JICA関西
国際センター、神戸防災共同庁舎、赤十字血液センター、
神戸赤十字病院、
兵庫県災害医療センター、なぎさ公園、ハーバーウォークなど、二
丁目には神戸
市立渚中学校、神戸
市立なぎさ小学校、ブルメールHAT神戸などの商業施設、三
丁目には脇の浜地域福祉センター、四
丁目には脇浜海岸公園などがあります。一
丁目と二
丁目を暗渠の西谷川が流れています。
歴史:工場地帯から復興のシンボルへ
脇浜海岸通の町名成立は、大正10年(
1921年)に脇浜町一~三
丁目の地先
埋立地と、当時の
国道2号以南の地域を合わせて制定されました。当初は神戸
市の町名でしたが、昭和6年(1931年)に
葺合区、昭和55年(1980年)に中央区に所属するようになりました。
昭和3年(1928年)、昭和47年(1972年)、昭和49年(1974年)には大規模な
埋立地造成が行われ、昭和47年(1973年)には周辺地域の編入もありました。
地名の由来は、敏馬神社のある敏馬浦・敏馬崎の脇の浜にあるとされています。江戸時代には脇浜村と呼ばれ、明治初期に葺合村の一部となり、後に神戸
市の一部となりました。明治40年(1907年)には
神戸臨港線が通り、臨港鉄道の拠点となりました。
明治末期から大正時代にかけて、神戸葺合港修築会社による埋立や、
川崎造船所(後の
川崎製鉄)、
神戸製鋼所の工場建設によって、大規模な工場地帯へと変貌を遂げます。大正10年(
1921年)には日本エヤーブレーキ(後のナブコ)の本社と神戸工場も進出しました。
しかし、
阪神・淡路大震災(平成7年1995年)をきっかけに、工場は閉鎖され、その跡地はHAT神戸の再開発事業の対象となりました。平成8年(1996年)に着工、平成10年(1998年)に街開きが行われ、この際に現在の町名と
丁目が設定されました。ナブコ神戸工場は平成10年(1998年)、本社は平成13年(2001年)に西区に移転し、
神戸臨港線も平成15年(2003年)に廃線となりました。
再開発によって、多くの高層マンションや公共施設が建設され、現在のウォーターフロント都
市としての街並みが形成されました。特に「HAT神戸・脇の浜」は、約3000人が暮らす大規模な災害復興住宅団地として注目を集めています。しかし、近年では復興住宅の高齢化が課題となっています。
統計
平成22年(2010年)の世帯数は2,713世帯、人口は5,658人でした。対照的に、昭和60年(1985年)は世帯数6、人口20人、昭和25年(1950年)は世帯数1、人口1人と、劇的な変化を遂げています。
まとめ
脇浜海岸通は、歴史的変遷を経て、工業地帯から近代的なウォーターフロント都
市へと生まれ変わった地域です。その歴史と現在を理解することで、神戸
市の発展の一端を垣間見ることができます。今後も、高齢化問題など、様々な課題に直面しながらも、発展を続けることでしょう。