南本町通

神戸市中央区南本町通：生田川沿いの歴史と変貌

神戸市中央区南本町通は、生田川下流左岸に位置する、住宅地と工業地域が混在する地域です。一丁目から六丁目まであり、東北東から西南西へと細長く伸びる町並みは、生田川西岸に沿って形成されています。工場や集合住宅が立ち並び、地域住民の生活と産業活動が共存する様子が見て取れます。

地理と近隣地域

南本町通は、北に北本町通、南東に脇浜海岸通、南西に真砂通、そして西側には生田川を挟んで御幸通と隣接しています。町域内には、専称寺（四丁目）、新生田川住宅、えんぴつの家（福祉施設）、葺合公民館別館（五丁目）、新生田川住宅、神戸南本町郵便局（六丁目）といった施設が点在しています。

歴史的変遷：スラムからの発展

元々は神戸市葺合町の一部であった南本町通は、明治34年（1901年）の耕地整理と道路網整備に伴い、町名が付与されました。当初は「葺合南本町通」という名称でしたが、昭和6年（1931年）の区制施行によって「南本町通」となり、昭和55年（1980年）には葺合区と生田区の合併により神戸市中央区に所属することとなりました。

町名の由来は、西国街道の南側に位置することからきています。北本町通と共に、古くから集落が形成されていた往還沿いの地域です。しかし、明治時代には「新川スラム」と呼ばれる貧民街が存在し、社会問題を抱えていました。著名な社会運動家である賀川豊彦も、明治42年（1909年）からこの地で活動を開始しています。

昭和29年から33年にかけては、川崎製鉄による葺合港湾埋立地造成が行われ、昭和34年にはその区域が南本町通に編入されました。昭和47年には、町域の一部が脇浜海岸通となりました。これらの歴史的経緯が、現在の南本町通の街並みに反映されていると言えるでしょう。また、明治43年（1910年）に開業した神戸電気鉄道（後の神戸市電）は、昭和46年（1971年）に全廃されるまで、地域住民の生活に深く関わっていました。

人口変遷

南本町通の人口は、時代とともに変化を遂げてきました。統計資料によると、大正9年（1920年）には人口3,700人、昭和35年（1960年）には4,028人、昭和60年（1985年）には1,774人、平成22年（2010年）には1,056人と推移しています。世帯数も同様に変化しており、これらの数値は、時代の移り変わりと社会情勢の変化を反映していると考えられます。

まとめ

南本町通は、生田川沿いの歴史と変貌を刻む地域です。かつてのスラムからの発展、港湾整備、交通網の変化といった歴史的経緯が、現在の街並みに複雑に絡み合っています。工場と住宅が混在する独特の景観は、この地域の多様な歴史を物語っています。今後も、この地域がどのように発展していくのか、注目に値するでしょう。

もう一度検索