腕挫手固

腕挫手固（うでひしぎてがため）

腕挫手固は、柔道の関節技10本の一つであり、相手の手首を掴んで肘を極める技です。講道館および国際柔道連盟 (IJF) での正式名称であり、IJFでは「手固（てがため）」とも呼ばれます。IJF略号はTGTです。

概要

相手の手首を片手または両手で掴み、肘関節を極める関節技です。腕緘に分類される技を除きますが、一部の腕挫手固は、1985年以前には腕緘と呼ばれていたものもあります。

バリエーション

腕挫手固には、極め方のバリエーションが数多く存在します。

袈裟固めからの腕挫手固: 相手の右からの袈裟固から、左手で相手の右手首を掴み、自分の脚の大腿部に相手の右上腕部を乗せ、左手で相手の右腕を伸ばして肘関節を極めます。
チキンウィングアームロックからの移行: チキンウィングアームロック、V1アームロックのような技も、片手で自分のもう片方の手首を掴めば腕緘に分類されますが、両手で相手の手首や前腕部を掴めば腕挫手固となります。
チキンウィングアームロックへの返し技: 相手がチキンウィングアームロックを狙ってきた際に、自らの腕で自らの帯を掴むなどしてふんばり、もう一方の自らの手で相手の手首を掴んで狙われた自らの腕に絡めて極める技も、腕挫手固に分類されます。
V1アームロック式: 右腕を相手の右上腕の下を通して相手の右手首を内からつかみ、相手の右肘をV1アームロックのように捻る腕挫手固もあります。これは片手のみで極める腕挫手固です。
頭部で肩を抑える形: 相手の手首を両手で取り、頭部で肩を抑えて極める腕挫手固もあります。

試合での実例

グランドスラム・パリ2018男子81 kg級3回戦では、モンゴルの選手が韓国の選手に腋固で敗れていますが、これは頭で相手の肩を抑えながらの両手での腕挫手固でした。この試合映像は、IJFのセミナーで教材として使用されました。

その他の腕挫手固

腕挫ひしぎ襟十字固め: 左腕を相手の右腋に外から差し、左手で相手の横襟をつかみ、右手で相手の右手首を掴み左腕を相手の右肘付近に当て、右手で相手の右腕を伸ばして極める腕挫手固です。立ち姿勢からの腕挫ひしぎ袖返しの後、寝姿勢で極める場合もあります。
腕挫ひしぎ袖返し: 相手の肘関節を極めながら横分の変化技腕返をおこなう腕挫手固です。2020年以降、柔道IJFルールでは全ての腕返が腕挫ひしぎ袖返しとみなされ、両者立ち姿勢での関節技という事で指導の反則となりました。
腕挫召捕: 相手の手首を片手、または両手で持って相手の腕を背に回して極める腕挫手固です。別名ハンマーロックとも呼ばれます。サンボでは禁止技です。
腕緘変化技: 片手で受の片方の手首をつかみ、もう一方の手で受の同じ側の腕の肘を押して腕を伸ばす、もしくは捻って極める腕挫召捕です。
ピロー・アーム・ロック: 片腕で相手の頭部を抱え、もう片腕で相手の片肘を極める腕挫手固です。別名V2アームロックとも呼ばれます。
テレフォンアームロック: 両手で相手の片手首を持ち、相手が受話器をもって電話をかけているように肘を捻りながら極める腕挫手固です。
脚固: 四つんばいの受の左腕に外を向きながら跨ぎ、両手で受の左手首を掴み持ち上げ受の左腕を伸ばし肘を極める腕挫手固です。
上膝固: 縦四方固から右手で受の左手首を取り、右膝を受の左腕の下にもぐらせ右膝を立てて、左手で受の左肩を抑え、右手で受の左腕を伸ばして右膝を受の左上腕にあて受の左肘を極める技です。
横膝固: 仰向けの受の右から右手で受の右手首を取り左手で受の右肩を抑え、右膝を受の右腋の下に割入れ、右腿を受の肘付近に当て右手で受の右腕を伸ばして受の右肘を極める技です。
ブリッジング・フジワラ・アームバー: うつ伏せの相手の左肩を肩甲骨当たりで抑え左肩で相手の左上腕部を抑えブリッジしながら両手で相手の左手首を掴んで左腕を伸ばす腕挫手固。プロレス技。
ショルダー・アームブリーカー: 相手の手首または片袖を掴み、相手を背にしてその腕を伸ばし、その上腕を肩に当てて極める技です。柔道では危険な状態と判断されると反則負けとなることがあります。
羽根折り腋固め: うつ伏せに倒れている相手の真横に腰を下ろして両脚で相手の片腕を挟み込んだ後、もう片腕を両腕で掴み取りながら極める腕挫手固。プロレス技。
変型羽根折り腋固め: うつぶせに倒れている相手の腕をオモプラッタの要領で固定して腰を下ろして空いている相手の手首を自分の両手で掴みながら自分の方へ引き寄せて肩や肘の関節を痛めつける腕挫手固。プロレス技。

まとめ

腕挫手固は、柔道における重要な関節技であり、様々なバリエーションが存在します。試合での実例や関連技を知ることで、より深く理解することができます。

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