腕挫脚固

腕挫脚固（うでひしぎあしがため）

腕挫脚固は、柔道の関節技10本の一つで、相手の腕に自分の両脚を絡めて、肘関節を極める技です。講道館および国際柔道連盟 (IJF) における正式名称であり、IJFでは「脚固（あしがため）」、略号はAGAとも呼ばれます。

概要

この技は、相手の腕に自分の両脚を絡ませて、肘関節を極めることを目的とします。相手がうつ伏せや仰向けの体勢など、様々な状況から仕掛けることが可能です。

基本形としては、亀の姿勢になった相手の片腕を取り、自分の片脚を相手のもう片方の腕に巻き付けるようにかけ、そのまま相手に覆い被さる体勢を取ります。この時、相手の腕に絡ませた自分の脚は、もう片方の脚と4の字のような形に組み、相手の肘の辺りを挟み込みます。そして、体を反らせるようにして、相手の肘関節を逆に反らせて極めます。また、亀になった相手の腋下のスペースに素早く脚を入れ、相手の片腕に引っ掛けて伸ばし、下腹部で相手の腕を圧迫して肘関節を極める方法もあります。

この技は、特性上、重量級の選手に向いているとされ、斉藤仁が得意としていました。

着衣格闘技以外の格闘技ではあまり見られませんが、柔道出身の桜井マッハ速人が、第3回全日本アマチュア修斗選手権の決勝戦で宇野薫にこの技で勝利した例があります。また、プロレスラーの藤原喜明もこの技を得意としています。

柔道界では、昭和60年に講道館が固め技の名称を制定する以前は「腕挫腹固」と呼ばれることが多く、制定後は腹を使って肘を極める技を腕挫腹固と呼ぶようになりました。しかし、柔道以外の格闘技界ではその後も腕挫腹固や腹固めと呼ばれることが多く、柔道の書籍でも「腕挫腹固」と呼んでいるものがあります。別名として、レッグ・フック・アームロック、フィギュア・フォー・アーム・バー 、腕挫体固（うでひしぎたいがため）とも呼ばれます。

試合での実例

グランプリ・ブダペスト2018男子100 kg超級3位決定戦
×ザルコ・カラム（スロベニア）　（3:03 脚固）　ロイ・メイヤー（オランダ）○
2018年世界柔道選手権大会バクー男子100 kg超級2回戦
○ウルジバヤル・ドゥレンバヤル（モンゴル）　（1:01 脚固）　ペドロ・ピネダ（ベネズエラ）×

これらの試合では、相手の腕をひねる形で極めています。

変化

逆袈裟緘

逆袈裟緘は、後袈裟固の体勢からの腕挫脚固です。後袈裟固の体勢から相手の自分側の腕を伸ばして両脚で捉え、下になった脚に乗せて相手の上腕を浮かせ、もう片方の大腿部で相手の肘を極めます。袈裟固の体勢から同様に極めた場合は腕挫膝固の袈裟緘となります。

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