自己肯定感

自己肯定感とは

自己肯定感は、自身の在り方を積極的に評価し、自らの価値や存在意義を肯定的に捉える感情を意味します。しかし、その定義は多様であり、類似概念との区別が曖昧な点も存在します。

定義

自己肯定感は心理学において重要な概念ですが、研究者によって様々な定義が提唱されています。自尊心、自己存在感、自己効力感、自尊感情など、類似の概念と混同されることも少なくありません。これらの用語は多義的に用いられることが多く、肯定的な心理要素を包括する名称として扱われることがあります。

自己肯定感の訳語としては、self-positivityやself-affirmationが用いられることもありますが、社会心理学者のスティールが提唱した自己肯定化理論におけるself-affirmationは、自己の全体的な完全さを確認することであり、自己肯定感とは異なる概念であるため注意が必要です。

歴史

「自己肯定感」という言葉は、1994年に高垣忠一郎によって提唱されました。高垣は、子どもたちのカウンセリングを通じて、没個性化（不登校、無気力、自殺など）の状態を説明するためにこの用語を用いました。

その後、日本の子どもの自己評価が、アメリカ、中国、韓国の子どもと比較して低いことが指摘され、教育現場で自己肯定感が注目されるようになりました。日本人の自己肯定感は子どもだけでなく、若者や成人でも低いことが明らかになっています。1990年代以降の文化心理学の影響を受け、日本の文化的背景に即した概念を模索する試みとして、自己肯定感という用語が使用されるようになりました。

自己肯定感が提唱されてから年月が経ち、多様な解釈が生まれています。自己効力感、自己有用感などが自己肯定感として語られることもありますが、高垣はこのような語られ方だけでは不十分であると述べています。教育再生実行会議の提言では、自己肯定感を高め、未来を切り拓く子どもを育む教育の重要性が強調されています。

自己肯定感に関する批判

自己肯定感は自尊心と類似の意味で使用されることがあるため、自己肯定感を議論する際には、自尊心に対する批判や研究が参考にされることがあります。自尊心に対する批判については、関連する項目を参照してください。

参考文献

ロイ・バウマイスター, ジョン・ティアニー, 渡会圭子 (翻訳) 『WILLPOWER 意志力の科学』インターシフト, 2013
中間玲子(編著)『自尊感情の心理学：理解を深める「取扱説明書」』金子書房、2016年

関連項目

自己効力感
自己評価
承認欲求
自尊心
劣等感
アクセプタンス
セルフコントロール
ナルシシズム
自己愛性パーソナリティ障害
個人の境界線
自己調節
誠実性
自己否定
自己否定論
* 自己肯定感爆上げソング

もう一度検索