臼井正明

臼井 正明（うすい まさあき）

臼井正明は、1928年5月8日に東京市大森区に生まれ、2016年11月23日に他界した日本の俳優および声優です。彼のキャリアは日本のエンターテインメント界において特筆すべきものであり、特に戦後のラジオドラマ全盛期に活躍したことで知られています。

人物背景

臼井は、芝区赤羽小学校（現在の港区立赤羽小学校）に通い、そこで児童文学作家の中村博と同級生となります。その後、東京府立第五中学校に進学し、著名な作家である澁澤龍彥や、脚本家の松木ひろしと同じ教室で学びました。大人になってからも澁澤とは親交を深め、彼の影響を受けた部分も多かったと言われています。

1946年、臼井は東京放送劇団2期生として声優活動を開始し、ラジオドラマの名作『君の名は』に出演したことで一躍注目を集めました。この作品が縁で、1954年には東京放送劇団1期生の七尾伶子と結婚し、著名な作家である菊田一夫が仲人を務めました。臼井はこの時期に「声優界の池部良」と称され、多くのファンを獲得しました。1956年には息子が誕生し、家庭を持つ一方で、さらなるキャリアの発展を目指しました。

1959年には東京放送劇団を退団し、劇団手織座に参加。その後も金子信雄主催の劇団「新演劇人クラブマールイ」に所属し、さまざまな舞台に立ちました。1960年や1961年にはフリーとして活動し、1963年からは東京俳優生活協同組合にも参加しました。彼の多様な表現力と演技力は、多くの作品において不可欠な存在となりました。

主な出演作品

臼井正明はテレビドラマや映画、ラジオドラマに多数出演しています。代表的なテレビドラマには、『ダイヤル110番』（1960年 - 1964年）、『ゼロの焦点』（1961年）、『勝海舟』（1974年）などがあります。また、NHKの『黄金の日日』や『マー姉ちゃん』では印象的な役を演じました。映画では、『ノンちゃん雲に乗る』（1955年）や『樺太1945年夏 氷雪の門』（1974年）のナレーションを担当し、名声を得ました。

さらに、声優としてはイヴ・モンタンやロッサノ・ブラッツィの吹き替えを務め、国内外の名作にその声を残しています。彼の多彩な演技力が、これらの作品において生き生きと表現され、視聴者やリスナーに深い感動を与えました。

受賞歴

臼井の功績は評価されており、2017年には没後の第11回声優アワードで特別功労賞を受賞しました。この受賞は、彼の長年にわたるエンターテインメント界への貢献を称えるものであり、多くの後進たちにとっても永遠にその名前が記憶に留まるでしょう。彼の遺した作品は、今なお人々に感動を与え続けています。

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