臼田亞浪

臼田亞浪

臼田亞浪（うすだ あろう）は、1879年2月1日に生まれ、1951年11月11日に没した、日本の俳人です。本名は臼田卯一郎といいます。

生涯

長野県北佐久郡小諸町（現在の小諸市）で生まれた臼田亞浪は、小諸義塾で学び、1904年に和仏法律学校（現在の法政大学）を卒業しました。学生時代には、短歌を与謝野鉄幹に、俳句を高浜虚子に師事しました。卒業後は、電報通信社の記者や横浜貿易新聞の編集長を経て、やまと新聞に入社しました。

1915年、大須賀乙字とともに俳誌『石楠』を創刊し、俳壇に登場しました。信濃毎日新聞などで選者を務める傍ら、恩師である高浜虚子の『ホトトギス』や、河東碧梧桐の新傾向俳句を批判し、俳壇の革新を目指しました。彼は松尾芭蕉や上島鬼貫を敬愛し、自然の中にこそ真の俳句が存在すると唱え、自然への深い感受性に基づいた民族詩としての句作を追求しました。1916年にはやまと新聞を退社し、以後は句作に専念しました。

1918年、『石楠』創刊の同志であった大須賀乙字と内紛により袂を分かつことになります。私生活では子供がいなかった亞浪ですが、1919年に妹が亡くなった際、6歳の娘を引き取り養子としました。

1945年3月10日の東京大空襲で印刷所が被災し、『石楠』は一時休刊となります。この時、家族と共に西多摩へ疎開しました。戦後の1946年、印刷所を長野市に移し、『石楠』を復刊。しかし同年8月には夫人を亡くしました。

1951年、脳溢血で倒れ、73歳でその生涯を閉じました。墓所は自宅に近い東京都中野区の宝仙寺にあります。法号は石楠院唯真亞浪居士。

『石楠』からは、大野林火、篠原梵、栗生純夫、田中弥助など、多くの俳人が育ちました。

作品

句集
『亞浪句鈔』（1925年）
『旅人』（1937年）
『俳句文学全集 第5 (臼田亜浪篇)』（1938年）
『白道』（1946年）
『定本亞浪句集』（1949年）
『臼田亜浪全句集』（1977年）
著書
『最近学校評論』（1906年）
『正伝真田三代記』（1913年）
『内容としての自然感』（1923年）
『俳句を求むる心』（1923年）
『芭蕉を中心として』（1923年）
『形式としての一章論』（1927年）
『評釈一茶の名句 最新俳句評釈叢書』（1928年）
『俳句の成るまで』（1941年）
『純粋俳句の鑑賞』（1942年）
『道としての俳句』（1942年）
『俳句の旅をゆく』（1946年）
『現代俳句の作り方』（1949年）
共著・編
『一茶俳句兄弟二色評』編（1911年）
『炬火 石楠第一句集』編（1917年）
『正岡子規』編（1917年）
『黎明 句集』撰輯（1929年）
『山光 句集』編（1935年）
『俳句の第一門』福島小蕾共著（1938年）
『俳句読本』青柳菁々共著（1942年）
『勤労俳句の鑑賞』共著（1946年）

参考文献

「郷土歴史人物事典 長野」第一法規 1978年
平井照敏/編 『現代の俳句』 講談社学術文庫 1993年

関連項目

長野県出身の人物一覧

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