航空事故調査局 (イギリス)

イギリス航空事故調査局（AAIB）の概要

イギリス航空事故調査局、通称AAIBは、航空事故の調査を専門としている英国内の機関です。この組織は運輸省に属し、ハンプシャーのファーンバラ空港を拠点としています。航空事故の調査を行うため、AAIBは3つの専門分野に分かれた調査官を有し、それぞれが持つ専門知識を活かして様々なインシデントに対応しています。

AAIBの沿革

AAIBの起源を遡ると、1912年に戻ることができます。この年に発生したサリーのブルックランズでの死亡事故に関連する報告書が初めてのものとされています。その後、第一次世界大戦中の1915年、イギリス陸軍航空隊内に事故調査部門が設置され、これがAAIBの前身であるAccidents Investigation Branch（AIB）に繋がりました。

第一次世界大戦が終わると、民間航空局が設立され、AIBはその下で民間および軍事航空の事故を調査する役割を担いました。第二次世界大戦後も、AIBは民間航空省の下で活動を続け、1983年に運輸省傘下となった後、1987年には現在の名称であるAAIBに改称されました。さらに2002年には、運輸省の一部門として再編成されました。

組織構成

AAIBには49名の職員が在籍しており、特に航空事故の主任調査官および副主任調査官を中心に組織が構成されています。調査官は運航調査官、構造調査官、フライトレコーダー調査官の3つの専門役割に分かれており、それぞれの分野で高い専門知識と経験が求められます。

• - 運航調査官は、定期運送用操縦士資格や身体検査証明を有し、航空機の運航に関する知識と技術を持つことが必要です。
• - 構造調査官は、エンジニアリングの学位や実務経験を有し、航空機の構造に関する深い理解と技能が求められます。
• - フライトレコーダー調査官は、電子工学や航空工学に関連する専門の学位や長い実務経験を持つ専門家です。

また、調査支援ユニットや情報ユニット、管理責任者など、調査に関わるさまざまなスタッフが活動しています。

調査対象

AAIBは、事故や重大インシデントの調査を担当しています。「事故」とは、人の死傷や航空機の損傷が関わるケースであり、「重大インシデント」は事故につながる可能性のある事件を指します。これらの調査は、イギリス国内及びその海外領土で発生した民間航空機の事例に適用されます。

海外領土にはアンギラ、バミューダ諸島、英領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、ジブラルタル、フォークランド諸島などが含まれています。さらに、イギリス籍の航空機や英国製の航空機に関する事故については、国外であっても調査を行います。

本部

AAIBの本部はファーンバラとエルダーショットの間に位置しています。ここには、2階建てのオフィスビルと格納庫など、3つの建物が設けられています。これらの施設では、調査員たちが効率的に活動できるよう、最新の音響研究所やシアタールームも備えられています。また、2012年からは、鉄道事故調査局の支部も設置されています。

AAIBは、航空事故調査において国際的にも高い信用を得ており、その調査結果は航空業界全体における安全向上に寄与しています。

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