船上山

船上山の概要

船上山（せんじょうさん）は、鳥取県東伯郡琴浦町に位置し、標高687メートルを誇る美しい山です。大山山系の一部で、長い年月を経て形成された独特な山容を持ち、周囲の風景と調和しています。この山は古代の大山火山の活動によって生じた溶岩流が、浸食により削られることでその形を成してきたと考えられています。

特に注目すべきは、山の東側に広がる急峻な斜面で、ここには「屏風岩」と呼ばれる険しい断崖があります。この地域は大変美しく、訪れる者の目を引きます。「屏風岩」は、その名の通り屏風のような形をしており、非常に雄大な姿を見せています。また、これらの地形は、船上山が船の底の形に似ていることから、船上山という名称がつけられました。

山の周辺には多くの見どころが点在しており、特に屏風岩には「千丈滝」という二つの滝（雄滝と雌滝）が存在します。また、屏風岩の南側には「鱒返滝」という別の滝があり、その上流には「一枚岩渓谷」という美しい渓谷が続いています。

船上山の歴史と文化

船上山はその自然の美しさだけでなく、歴史的な価値も持ち合わせています。この山は古くから山岳霊場として知られ、和銅年間に赤衣上人または智積上人によって智積寺として開かれたと伝えられています。南北朝時代の初めには、後醍醐天皇が隠岐を脱出した際に、伯耆の豪族・名和長年によって船上山に迎えられ、行宮が築かれました。

この地は後醍醐天皇方と鎌倉幕府方との間で争われた「船上山の戦い」の舞台でもあり、激しい戦闘が繰り広げられました。この歴史的な背景から、山頂付近には行宮の跡を示す碑が建てられています。1932年には国の史跡として指定され、歴史的な重要性が認められています。

船上山ダムと万本桜公園

山の麓の勝田川流域には、利水を目的とした船上山ダムが存在し、訪れる人々にとっても大切な自然資源となっています。船上山ダムからは登山口が設けられており、登山口の近くには「船上山万本桜公園」が広がっています。この公園では毎年4月に「船上山さくら祭り」が開催され、多くの訪問者が桜の美しさを楽しみに集まります。また、公園内には飲食や土産を販売する店舗があり、社会教育施設である「鳥取県立船上山少年自然の家」も併設されています。

このように、船上山はただの山ではなく、自然と歴史、文化が融合する特別なスポットです。大山隠岐国立公園にも指定されているこの場所は、訪れる人々に心温まる体験を提供し、鳥取県の自然の美しさを感じさせてくれます。

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