船尾停留場

船尾停留場（ふなおていりゅうじょう）

大阪府堺市西区に位置する阪堺電気軌道阪堺線の駅の一つが、船尾停留場です。この停留場には駅番号HN29が付与されており、所在地は浜寺諏訪森町中2丁にあります。地域住民の日常的な移動手段として重要な役割を担っています。

歴史

船尾停留場の歴史は、1912年（明治45年）4月1日に当時の阪堺電気軌道によって開業したことから始まります。明治時代の終わり、路面電車の黎明期に誕生しました。その後、運営する鉄道会社は時代の流れと共に何度か変遷を遂げます。

1915年（大正4年）6月21日には、南海鉄道との合併により、同社の駅となります。大正時代に入り、鉄道網の再編が進む中で経営主体が変わりました。

さらに第二次世界大戦中の1944年（昭和19年）6月1日には、会社合併により近畿日本鉄道の駅となります。戦時体制下での交通網統合の一環でした。

終戦後間もない1947年（昭和22年）6月1日には、路線の譲渡によって南海電気鉄道の駅となります。この頃、南海鉄道が再び近畿日本鉄道から独立する動きがあり、路線の移管が行われました。

そして、1980年（昭和55年）12月1日には、再び路線が阪堺電気軌道へ譲渡され、現在に至っています。これは南海電気鉄道から分社化されたことによるもので、開業時の運営主体に戻った形です。

このように、船尾停留場は100年以上の長い歴史の中で、開業時の阪堺電気軌道、南海鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道、そして再び阪堺電気軌道へと、幾度かの運営主体の変更を経験しながら、地域の交通を支え続けてきました。

停留場構造

船尾停留場は、道路上ではなく、専用に敷設された新設軌道上に設けられた地上駅です。停留場の構造には特徴があります。上下線それぞれに設けられた単式のホームは、互い違いに配置されています。これは、停留場を挟む踏切を基準に、線路の左右にずらして配置されているためで、「千鳥式配置」と呼ばれています。この構造は、路面電車や地方の鉄道の停留場で時折見られるもので、限られたスペースの中でも安全に乗り降りができるよう工夫されています。利用者は、それぞれのホームで目的方向の電車を待ち、乗降を行います。

停留場周辺

船尾停留場の周辺は、閑静な住宅地が広がる中に、様々な施設が点在しています。交通の便としては、南海電気鉄道南海本線の諏訪ノ森駅が比較的近くにあり、両駅間での乗り換えも可能です。これにより、堺市内の他の地域や大阪方面へのアクセスも広がります。

周辺には、日々の買い物や散策に便利な諏訪森本通商店街があります。地域に根差した商店が並び、活気を感じさせます。また、教育施設も充実しており、堺市立浜寺小学校、堺市立浜寺東小学校、堺市立浜寺中学校といった小中学校が集まっています。さらに、泉州看護専門学校も立地しており、多くの学生がこの地域を行き交います。

生活関連施設としては、イオンタウン諏訪の森（KOHYO諏訪ノ森店）のような商業施設があり、食料品や日用品の買い物が便利です。地域に根差した様々な施設が点在しており、人々の暮らしを支えています。堺聖テモテ教会のような施設も地域に溶け込んでいます。

過去の情景

船尾停留場に関連する興味深い歴史として、かつて当停留場と隣の浜寺駅前停留場の間に「海道畑駅（かいどうばたえき）」が存在したことが挙げられます。この海道畑駅は、1944年（昭和19年）まで営業していました。特に重要な点として、この駅は阪堺電鉄（後の大阪市電阪堺線）との乗り換え駅としての機能も持っていました。異なる鉄道会社の路線が交差する地点に設けられた結節点であり、地域の交通網において重要な役割を担っていたと推測されます。現在はその姿を見ることはできませんが、この地域の鉄道史における一つのエピソードとして記憶されています。

隣の停留場

現在の阪堺電気軌道阪堺線における船尾停留場（HN29）の隣の停留場は以下のようになります。

天王寺駅前方面：石津停留場（HN28）
浜寺駅前方面：浜寺駅前停留場（HN31）

注目すべき点として、駅番号HN30は欠番となっています。これは、過去に存在した駅や路線の変遷、あるいは駅番号付与の際の体系によるものと考えられます。船尾停留場は、HN29として地域の交通ネットワークの一部を形成しています。

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