船木常平

船木常平

船木常平（ふなき つねひら）は、戦国時代の武士であり、安芸国（現在の広島県西部）三石城の城主でした。

生涯

常平は、安芸の国人である沼田小早川氏の一族、小早川扶平の子として生まれました。当時、安芸国周辺は、大内氏と尼子氏という二つの強大な勢力が覇権を争う激戦地でした。

永正5年（1508年）、父・扶平が亡くなると、沼田小早川氏の家督は長兄の興平が継承しました。しかし、興平がまだ幼かったため、大内義興は小早川氏と懇意であった竹原小早川氏の小早川弘平に家督を継がせようとしました。これに対し、小早川氏の家臣団は大内氏の支配を嫌い、弘平を興平の後見人に迎えました。さらに、永正10年（1513年）には、弘平に興平の弟である福鶴丸を養子として迎えさせ、大内氏や尼子経久の介入を未然に防ごうとしました。

当初、常平は弘平の養嗣子として竹原小早川氏の後継者と見なされていましたが、永正16年（1519年）に弘平に実子の興景が誕生したため、まもなく縁組を解消され、実家に戻されたと考えられています。その後、常平は新たに別家を興して船木氏を称し、元服して諱を「常平」と改めました。

この頃、中国地方では大内家と尼子家が覇権を巡って激しく争っており、大内家と対立する細川家もこの地域への介入を強めていました。小早川氏の総領家では、扶平の死後、興平が幼少ながら当主となっていました。扶平が細川家と親しかったことから、その影響を受けた興平は当初、尼子方に味方しました。しかし、やがて大内方に寝返ります。その際、常平は尼子方に残り、袂を分かった主家と対立することになりました。

その後も大内氏と尼子氏の争いは続き、天文10年（1541年）正月晦日、常平は総領家に居城である三石城を攻められ、自刃したと伝えられています。この頃には、興平はすでに死去しており、総領家はその子である正平が当主となっていました。正平は大内方に味方していましたが、尼子方に寝返ろうとしたことが大内義隆に露見し、監視下に置かれていました。

いずれにせよ、常平が天文10年（1541年）に死去したことは間違いないようです。遺された子供たちは大内義隆に預けられました。そのうちの一人、平賀隆保は義隆から一字を与えられて平賀氏を継ぎ、家臣として重用されました。

船木常平は、戦国の turbulent な時代に翻弄され、主家との対立、勢力争いの中で、最終的に悲劇的な結末を迎えた武将でした。

参考文献

* 今井尭ほか編『日本史総覧』 3（中世 2）、児玉幸多・小西四郎・竹内理三監修、新人物往来社、1984年3月。

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