良如

生涯

良如（りょうにょ）は、江戸時代前期に活躍した浄土真宗の僧で、浄土真宗本願寺派第13世宗主（法主）として知られています。西本願寺の住職も務めました。幼名は茶々丸、諱は光円、院号は教興院と称し、法印大僧正の位にまで上り詰めました。

結婚と宗主継承

慶長17年（1613年）に、第12世宗主准如の次男として誕生しました。兄が早世したため、幼くして後継者としての指名を受けました。寛永2年（1625年）には、元関白九条忠栄の次女貞梁院と結婚し、翌年得度して九条家の猶子となりました。

この結婚により、九条家の絵師狩野山楽の作品が西本願寺に伝わったとされています。また、良如と貞梁院の結婚に先立ち、貞梁院の姉が良如の従兄である東本願寺法主と結婚したことから、東本願寺にも山楽の作品が伝来しました。しかし、貞梁院は宗主継承後の寛永9年（1632年）に死去し、良如は後に八条宮智仁親王の娘殊光院と再婚するも、彼女とも死別しています。

得度から間もなく法眼に叙され、その後大僧都、僧正へと昇進しました。寛永7年（1630年）には父准如の死により西本願寺の宗主となり、寛永15年（1638年）には大僧正に任じられました。東本願寺との分立問題から、宗主になる前から度々江戸へ下向し、幕府との交渉にあたりました。その回数は生涯で13回に及びました。

西本願寺周辺の再建

宗主となった良如は、焼失した御影堂の再建を始め、学寮の開設、親鸞の忌法要など、教団の組織整備と教学の振興に力を注ぎました。

元和3年（1617年）の火災で焼失した御影堂の再建は、良如の代になって本格的に進められました。寛永13年（1636年）には巨大な木造建築として完成し、多くの参詣者や見物人を驚かせました。また、対面所や飛雲閣などもこの頃に造営されました。阿弥陀堂の再建は幕府の規制により良如の死後まで持ち越されました。

また、明暦の大火で焼失した浜町別院の代替地として、現在の築地本願寺の地が与えられ、佃島門徒の尽力により埋め立てられました。大谷本廟の整備も行われ、親鸞四百回大遠忌法要に合わせて整備が完了し、歴代宗主の納骨が行われるようになりました。

再建事業の傍ら、良如は皇族や公家、大名、茶人など、多くの文化人とも交流しました。側日記には、良如が風流を好み、能や歌舞伎、茶の湯、将棋などを楽しんだ様子が記録されています。

体制の整備と動揺

良如は、幕府の命令に基づき、寺院本末帳を提出して本寺と末寺の関係を明確化し、中央集権体制を確立しました。また、宗門改帳の制度化により寺請制度も整備され、幕府の宗教政策と共に本願寺教団の体制が形成されました。さらに、門下を統制するために制誡や制禁、付則を定めました。

寛永15年（1638年）には、学寮の設立を発起し、今日の龍谷大学の前身となる学寮を開設しました。ここでは、末寺の僧たちを集めて講義が行われ、教学の研鑽が深められました。

しかし、良如が宗主であった時期、西本願寺では末寺が東本願寺へ転属する動きが相次ぎました。また、教義をめぐる紛争（承応の鬩牆）が発生し、西吟と月感の間で激しい論争が起こりました。この紛争は幕府も巻き込む事態となり、最終的に学寮の破却という結果に終わりました。この紛争中にも、西本願寺の末寺が東本願寺に改派しようとする動きがありましたが、幕府が解決まで留保するよう指示しました。

寛文元年（1661年）の親鸞四百回忌法要の頃から病気がちになり、翌寛文2年（1662年）に51歳で示寂しました。長男は夭折したため、次男の寂如が第14世宗主となりました。

なお、茶道藪内流の2代真翁は、良如に迎えられて茶道師家となり、以降藪内家は西本願寺の庇護を受けました。

良如は、西本願寺の再建と教団の組織整備に尽力した一方で、宗派内部の対立や動揺にも直面した、波乱に富んだ生涯を送った人物でした。

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