花隈町

花隈町：歴史と文化が織りなす神戸の町

はじめに

兵庫県神戸市中央区に位置する花隈町は、歴史の重みを感じさせる町です。かつては花隈城が築かれ、近世には花街として栄え、現在も独特の雰囲気を保ちながら、静かにその歴史を刻んでいます。この記事では、花隈町の歴史、地理、そして近年の様子を紐解きながら、その魅力に迫ります。

地理

花隈町は中央区の南西部、旧生田区域の中央部に位置しています。東・北・西は下山手通、東から南にかけては北長狭通に隣接しています。神戸港の発展に伴い、かつては高級料亭が立ち並ぶ花街として知られていました。現在も飲食店や集合住宅が混在する商業地域となっています。

歴史

地名の由来

花隈町の地名は、古くは「花熊」「鼻熊」「華熊」とも表記されていました。地名のはっきりとした由来は定かではありませんが、いくつかの説があります。一つは、海に面した小高い丘の、一段と高い部分を「クマ」と呼び、その場所が台地の端（ハナ）にあったことから名付けられたという説です。もう一つの説は、「クマ」を神と捉え、神社領のはずれという意味で名付けられたというものです。いずれにせよ、古くからこの地が特別な場所であったことを示唆しています。南北朝時代には既に「花熊」という地名が登場しており、足利方に属した武士の活躍の舞台として記録にも残っています。

中世以前

平清盛が祀ったとされる兵庫七弁天の一つ、花隈弁天は、花隈城の築城に伴い生田神社に移され、その後は宇治川河口の弁天浜に移されたと伝えられています。戦国時代には、織田信長方の城として花隈城が築かれました。荒木村重が信長に反旗を翻し入城したのち、本願寺派の拠点となり、信長方の軍勢と激しい戦闘が繰り広げられた歴史があります。その後、信長と本願寺の和議成立により、花隈城は破却されました。町内にある福徳寺は、建久年間（1190年～1198年）に九条関白兼実によって建立されたと伝えられ、天正年間（1573年～1593年）に現在の地に移転したとされています。

江戸時代～明治時代

江戸時代から明治5年（1872年）までは花隈村として存在していました。幕府領と小泉藩領の支配が入れ替わりながら続きました。当時の村高は、時代によって若干の変動はありますが、およそ290石余でした。元和元年（1615年）の家数は61軒でしたが、時代を経るごとに増減を繰り返しました。天明8年（1788年）の資料によると、田畑の他に水車や紺屋が存在し、米の年貢を納めていたことが分かります。明治2年（1869年）頃には、農業の他に素麺、線香、酒造業など様々な産業が存在し、女性は織物や筵作りに従事していたと記録されています。また、地名には「土居」「射矢の上」「御所坂」など、花隈城の城郭に由来する地名も残っていました。明治5年（1872年）、花隈村は神戸町の一部となり、花隈町となりました。明治27年（1894年）には、現在の町域が神戸市下山手通の一部から成立しました。

近現代

昭和6年（1931年）には神戸区、昭和20年（1945年）には生田区、昭和55年（1980年）には中央区に所属するようになりました。昭和6年までは「神戸花隈町」と呼ばれていました。明治21年（1887年）には日本基督教団神戸教会が移転してきました。大正10年（1921年）には神戸市電山手上沢線が、昭和43年（1968年）には神戸高速鉄道が開通し、花隈駅が設置されました。昭和55年（1980年）には、一部が北長狭通一～八丁目となり、周辺の町丁との境界変更が行われました。

交通

花隈町内に鉄道駅はありませんが、近隣には花隈駅があります。バス路線も整備されており、神戸市内へのアクセスは良好です。

施設

花隈町内には、神戸看護専門学校、兵庫県商工会館、花隈公園などの施設があります。歴史的建造物や寺院も多く、文化的にも豊かな地域です。

まとめ

花隈町は、歴史と文化が深く根付いた、魅力あふれる町です。古くからの町並みと近代的な建物が調和し、静かで落ち着いた雰囲気の中に、活気も感じられます。この町を散策することで、神戸の歴史と文化を肌で感じることができるでしょう。

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