芳賀矢一

芳賀 矢一（はが やいち）

芳賀矢一は、1867年に越前国福井に生まれ、日本の国文学に多大な影響を与えた学者です。父は著名な国学者・芳賀真咲で、彼の影響を受けながら教育を受けました。第一高等中学校を卒業後、帝国大学文科大学（後の東京帝国大学文学部）に進学し、1891年に卒業します。

大学在学中、矢一は小中村清矩に学び、国文の基礎を築きました。1898年には東京帝国大学に助教授として就任し、その翌年にはドイツに留学して文献学を学びました。1901年に帰国し、同大学の教授となり、1903年には文学博士の称号を得ます。彼のキャリアの中で、大正4年には帝国学士院の会員に選ばれ、1918年から亡くなるまで國學院大學の学長を務めました。

矢一は、国文学の発展に寄与しただけでなく、国語教育にも積極的に関与し、国定教科書の編纂に携わりました。「尋常小学読本」の校閲にも関与し、歌詞の作成にも携ったと見られています。また、一部の校歌の作詞にも関与した可能性があります。

彼の業績は豊富であり、多くの古典文学作品の校訂を行いました。特に『源氏物語』の評論では、その内容に対して厳しい所見を示しています。夏目漱石と同時期に教授として活動しており、彼との交流も注目されています。

芳賀矢一は、1927年に心臓麻痺で亡くなりました。彼の墓所は文京区の護国寺にあります。

家族と親族

芳賀矢一の家族もまた、学問の道を歩む人物が多くいました。息子の芳賀檀は評論家およびドイツ文学者として活動し、娘の婿には朝鮮総督府官僚の穂積真六郎や法学者の尾高朝雄がいます。穂積と尾高は、共に著名な実業家・渋沢栄一の孫です。

知遇と栄典

彼は1917年12月に正四位に叙され、1908年には勲四等瑞宝章を授与されています。これらは彼の業績や国文学への貢献に対する評価を示しています。

主な著作

芳賀矢一の著作は多岐にわたり、『新撰帝国史要』や『国文学史十講』、『世界文学者年表』などが挙げられます。彼の作品は国文学の発展に重要な役割を果たしました。

評伝と関連項目

彼に関する研究や評伝も数多く刊行されており、最近では佐々木孝浩による『芳賀矢一: 「国文学」の誕生』が出版されています。また、彼が関与したプロジェクトや活動には、校異『源氏物語』や文学祭「花まつり」があり、彼の活動は広範にわたりました。

芳賀矢一は日本の国文学界における重要な人物であり、その業績は現代でも影響を与えています。彼の取り組みや著作は、今後の研究や教育においても欠かせない資源となるでしょう。

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