若一王子神社 (曽於市)

若一王子神社について



若一王子神社は、鹿児島県曽於市末吉町南之郷に位置する神社です。社格は無社格であり、地域の人々から信仰を集めています。

この神社の名前にある「若一王子」とは、紀州の熊野三山に由来する神様を指します。熊野三山は、かつて修験道の重要な修行の場でありました。若一王子神社では、熊野速玉神社の祭神である伊弉諾尊（いざなぎのみこと）と、熊野那智神社の祭神である伊邪那美命（いざなみのみこと）の御子である天照大神（あまてらすおおみかみ）が祀られています。この天照大神が、この地に勧請されたと伝えられています。

全国各地には、若宮王子、若王子、若宮若女一王子、若宮一王子、若一王子など、様々な名前で呼ばれ、祀られている神社が数多く存在します。「若宮」とは、本宮の御子神を意味し、「王子」とは仏教における童子を指しますが、ここでは「御子神」という意味で用いられています。また、熊野五所王子の内、第一の王子という意味も含まれています。そのため、若一王子は熊野三所大神に次ぐ重要な神として位置づけられています。

若一王子神社の創建



薩摩・大隅の地で班田収授が行われたのは、延暦19年（800年）12月のことでしたが、班田制はうまく機能せず、墾田状態が長く続きました。後一条天皇の万寿3年（1026年）正月20日、大宰府の大監であった平朝臣季基（たいらのあそんすえもと）は、弟の判官良宗（はんがんよしむね）と共に現在の都城市本庄、三俣院に至り、この地を領有しました。そして、近郷一帯に荘園を拡大し、後に日本最大の荘園となる島津荘の原型を築きました。

同年9月9日、平季基は梅北（現在の都城市梅北町）の地に守護神として神柱宮を創建し、自ら司官となりました。その後、荘園を藤原頼通（ふじわらのよりみち）に献上し、その管理を婿の肝付兼貞（きもつきかねさだ）に譲り、自身は箸野に隠居しました。同年12月29日には、当社である若一王子神社を建立し、晩年は司官として本明屋敷で余生を送ったとされています。神社の境内には、平季基を祀る祠があり、木造が祭られています。近くには平季基の墓もあると伝えられています。

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