若東龍秀史

若東龍 秀史

若東龍 秀史は、1978年7月27日に茨城県筑西市（旧真壁郡関城町）で生まれた元大相撲力士です。本名を野寺 秀史といい、松ヶ根部屋に所属しました。身長177cm、体重156kgという体格を持ち、得意技は突き、押しでした。読書を趣味とする一面も持っていました。

幼少期から入門まで

実家は野寺農機商会・新日本交通を営んでおり、その次男として誕生した若東龍は、幼い頃から相撲に親しんでいました。小学校4年生からは3年連続で全国大会に出場するなど、アマチュア時代からその才能を見せていました。中学3年生になる頃には、将来相撲界に進むことを決意していたといいます。

相撲以外にも武道に励み、筑西市立関城西小学校の3、4年生で野球チーム「ムテキンズ」を経験した後、柔道を始めました。筑西市立関城中学校に進学してからは2年生まで柔道部に所属し、茨城県大会で優勝を果たす活躍を見せました。しかし、本人の目標はあくまで力士となることであり、柔道での全国大会出場や段位にはさほど関心がなかったようです。中学卒業を控えた頃、結城市で相撲料理店を経営していた元二子山部屋の力士である若錦（最高位は序二段）の紹介を受け、松ヶ根部屋に入門。正式な入門前には、部屋で稽古をつけてもらう機会もありました。

大相撲でのキャリア

中学校を卒業した1994年3月場所で、本名の野寺秀史として松ヶ根部屋から初土俵を踏みました。同期には後の幕内力士である潮丸らがいます。序ノ口から順調に番付を上げていき、1996年1月場所には幕下へ昇進します。しかし、この場所で膝を負傷するという不運に見舞われ、番付は序二段まで大きく後退してしまいました。

怪我から復帰すると、再び番付を上げていき、1998年3月場所で幕下に復帰します。ところが、この場所から4場所連続で休場することになり、同年11月場所には再び序二段に陥落してしまいます。度重なる怪我に苦しむも、ここから彼の不屈の精神力が発揮されます。復帰から2場所目となる1999年1月場所では、序二段で7戦全勝の成績を収め、見事優勝を果たしました。この勢いに乗って、一気に幕下まで番付を戻すと、幕下でも安定した相撲を見せ、勝ち越しを重ねて番付を上げていきました。

そして、2000年1月場所には西幕下15枚目の地位で臨み、ここでも7戦全勝で自身二度目となる各段優勝、幕下優勝を飾りました。西幕下2枚目として迎えた翌3月場所でも4勝3敗と勝ち越し、この実績が評価され、2000年5月場所で念願の十両昇進を果たします。四股名を若東龍秀史と改め、突き押し相撲で期待されましたが、初めての十両では7勝8敗と惜しくも負け越し、わずか1場所で幕下へ陥落してしまいました。

二度目の十両昇進と最高位、そして引退

幕下に落ちるも奮起し、2001年1月場所で再び十両の土俵に上がります。この場所から2場所連続で勝ち越し、2001年5月場所には自己最高位となる西十両3枚目まで番付を上げました。この場所は初日から5連勝と絶好のスタートを切るも、中盤以降失速し、11日目から4連敗。さらに、千秋楽を右膝の故障で休場することとなり、7勝8敗と勝ち越しを逃す結果に終わりました。

復調の兆しが見えてきた同年11月場所には、今度は左膝を故障し、6日目から休場を余儀なくされ、再び幕下へ転落します。その後も怪我に悩まされる土俵生活が続きましたが、不屈の闘志で相撲を取り続けました。2003年9月場所には番付を三段目まで落としますが、ここでも7戦全勝で三段目優勝を果たし、再び幕下上位まで番付を盛り返す粘りを見せました。

その後も、再び十両の土俵へ上がることを目指し相撲を取り続けましたが、度重なる怪我の影響もあり、遂に2006年1月場所限りで現役を引退することを決断しました。

引退後

現役引退後、若東龍は第二の人生を歩み始めました。2006年10月からは、故郷である茨城県筑西市の玉戸で「ちゃんこ居酒屋 若東龍Kitchen」を開業し、自身も厨房に立ってこだわりのちゃんこ鍋を提供しています。

主な成績

通算成績: 260勝186敗107休（勝率.583）
十両成績: 40勝41敗24休（勝率.494）
現役在位: 72場所
十両在位: 7場所
各段優勝:
幕下優勝：1回（2000年1月場所）
三段目優勝：1回（2003年9月場所）
序二段優勝：1回（1999年1月場所）

改名歴

野寺 秀史（のでら ひでふみ）1994年3月場所 - 1995年3月場所
若豊龍 秀史（わかほうりゅう ひでふみ）1995年5月場所 - 1997年9月場所
野寺 秀史（のでら ひでふみ）1997年11月場所 - 2000年3月場所
若東龍 秀史（わかとうりゅう ひでふみ）2000年5月場所 - 2004年3月場所
* 野寺 秀史（のでら ひでふみ）2004年5月場所 - 2006年1月場所

エピソード

十両在位中には、幕内力士との取組を経験しています。2001年夏場所5日目の栃乃花戦、7日目の大善戦、そして2001年秋場所13日目の大至戦と、計3度幕内の土俵に上がりました。これらの対戦では、いずれも若東龍が勝利を収めています。

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