英国公使館焼き討ち事件

英国公使館焼き討ち事件について

1863年、江戸品川御殿山で発生した「英国公使館焼き討ち事件」は、日本の幕末期の激動を象徴する重要な出来事です。この事件は、文久2年12月12日（西暦1863年1月31日）に発生しました。イギリス公使館が建設中であったこの時期、攘夷を推進する勢力が台頭し、幕府の政策に強い影響を及ぼしていました。

事件の背景には、攘夷を掲げる勢力が幕府に対し圧力をかけていたことがあります。特に、勅使の一団が江戸に滞在していた11月31日には、高杉晋作らが横浜を襲撃する計画を立てました。しかし、長州藩主の毛利定広の説得により、計画は中止されました。その後、御楯組という武士の集団が形成され、勅使が江戸を離れた後に襲撃の準備が進められました。

襲撃の指揮を執ったのは高杉晋作で、彼の右腕である副将の久坂玄瑞がサポートしました。火付け役としては井上馨、伊藤博文、寺島忠三郎が関与し、彼らは公使館への襲撃を計画しました。また、護衛役には品川弥二郎や堀真五郎、松島剛蔵が任命され、斬捨役としては赤根武人、白井小助、山尾庸三らが参与しました。

イギリス公使ラザフォード・オールコックは、他の外国公使と共に幕府に対し公使館の建設を依頼しました。この際、建設費の10分の1の年賃貸料で借りることで合意され、オールコックは簡単なスケッチ図を提供しました。それを基に幕府作事方が建設に着手し、文久2年の春には作業が進められました。12月には建物がほぼ完成し、翌年にはイギリス公使館として利用される予定でしたが、この襲撃により全焼してしまいました。

この事件によって、オールコックは政情不安が蔓延する江戸ではなく公使館を横浜に置くことを決定しました。もし焼失がなければ、日本初の洋館建築として歴史に名を刻んでいた可能性があります。

この焼き討ち事件は、日本の幕末期における外国人襲撃や殺害事件の一環として捉えられることができ、当時の動乱と国際関係の緊張を映し出しています。また、幕末太陽傳といった文化的な表現にも、このような歴史的背景が影響を与えています。この事件は、日本と西洋との交流が進んでいた時期に発生したものであり、歴史を学ぶ上での重要な素材となっています。

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