英朝条約

1883年の英朝条約について

1883年に締結された英朝条約（United Kingdom–Korea Treaty of 1883）は、イギリスと朝鮮（李氏朝鮮）の間で結ばれた重要な外交文書です。この条約は、朝英修好通商條約（조영수호통상조약）とも呼ばれ、朝鮮の国際関係において画期的な意味を持ちます。この条約に至る経緯には、前年に締結された他の条約も深く関わっています。

条約締結の背景

1876年、日本の艦船が江華島に接近し、朝鮮の首都である漢城府を威嚇する形で砲撃を行ったことが、朝鮮にとって日本との外交関係の構築を促す直接的な契機となりました。これにより朝鮮は『日朝修好条規』を締結し、以降は西洋諸国との交渉を進めていくことになります。

当時、中国で朝鮮の宗主権を握っていた李鴻章は、日本やロシアの影響を避けるため、朝鮮が欧米との条約を結ぶことが重要だと考えていました。こうした背景のもと、1882年にはアメリカが朝鮮と『米朝修好通商条約』を結び、これが他国との交渉の参考となります。

同年6月には、第一次英朝条約（ウィルズ条約）が結ばれましたが、駐日英国大使のハリー・パークスはこの条約が朝鮮に有利すぎるとして反発。結果、イギリス政府はパークスの提言を取り入れ、条約の再交渉を決定しました。

第二次英朝条約の成立と内容

1883年11月、再交渉された結果、第二次英朝条約が締結されました。この条約では、公使や領事の交換、領事裁判権、協定関税制、片務的最恵国待遇、開港場の設定などが規定されています。条約は、イギリスから朝鮮への公使派遣をも含み、1884年にはサー・ハリー・パークスが公使に任命され、その後も何人かの公使が朝鮮に派遣されました。

条約の影響とその後の展開

この条約は1905年に日韓が協約を結び、大韓帝国が日本の保護国となるまで有効でありました。その後、1910年に韓国併合が行われ、朝鮮は日本の統治下に入ります。条約の内容には、治外法権が含まれており、朝鮮におけるイギリス国民は朝鮮の法廷で裁かれず、イギリスの領事裁判所や、後には中国と朝鮮を管轄する英国高等領事裁判所での裁判が適用されました。

まとめ

1883年の英朝条約は、朝鮮と西洋諸国との関係を形成するにあたり、重要な役割を果たしました。この条約の締結は、当時の国際情勢を反映したものであり、朝鮮にとっては実質的な独立を維持する手段でもあったのです。また、条約がもたらした制度的枠組みは、その後の朝鮮の国際的な地位に影響を与えることとなります。

もう一度検索