苻娀娥

苻娀娥（ふ しゅうが）

苻娀娥は、後燕の昭文帝慕容熙の昭儀（側室、最高位の妃嬪）であり、皇后苻訓英の姉です。彼女は死後、皇后を追贈されました。

生涯

苻娀娥は、前秦の重合侯苻謨（壮烈天王苻堅の従弟）の長女として生まれました。後燕を創建した慕容垂は、苻氏の残党の一部を収容し、苻謨を中山尹に任じました。397年、慕容詳が中山で燕帝を僭称し、恵愍帝慕容宝を攻撃した際、苻謨も巻き込まれて慕容詳に殺害されました。苻娀娥と妹の苻訓英は難を逃れ、後に慕容熙の妻妾となりました。

慕容熙が即位すると、苻娀娥は貴人に封じられました。妹の苻訓英が皇后になると、苻娀娥も昭儀となりました。彼女は美女として知られ、皇后に次ぐ寵愛を受けました。慕容熙は苻娀娥のために、逍遥宮、甘露殿、天河渠、曲光海、清涼池、弘光門といった宮殿や庭園を建設し、奢侈濫費を重ねて庶民を圧迫しました。

光始4年（404年）夏4月、慕容熙が城南へ遊びに行った際、ある大木の中から「陛下、止めて」という人の声が聞こえてきました。不審に思った慕容熙が大木を切り倒させると、中から大蛇が現れました。その後、苻娀娥は病にかかりました。同年7月、王温という道士が治療に当たりましたが、苻娀娥は亡くなりました。慕容熙は激怒し、王温を車裂きの刑に処しました。

苻娀娥は皇后に追封され、愍の諡を贈られました。

伝記資料

『晋書』載記
『十六国春秋』
* 『資治通鑑』

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