范胡達

バドラヴァルマン1世の生涯と業績

バドラヴァルマン1世（サンスクリット語: भद्रवर्मन् १, ラテン文字転写: Bhadravarman I, 生年不詳 - 413年）は、チャンパ王国（現ベトナムの林邑国）の第2王朝に属する第三代国王であり、在位は380年から413年までの約33年間です。彼の名は、歴史的文書においてさまざまな形で登場し、『晋書』や『宋書』では「范胡達」、また『梁書』や『南史』では「范須達」と記されています。彼はサンスクリット名を持つチャンパ王国の最初の君主であり、「ダルママハーラージャ」（正義の王）とも称されました。

即位と初期の業績

バドラヴァルマン1世は、先代の王の死後に即位しました。彼の最初の外交活動の一つは、382年3月に東晋に対して派遣した使者でした。この時期、彼の治世下でチャンパ王国は盛んに発展しました。特に、都を「シンハプラ」に定め、前王時代に被害を受けていたカンダプルプラを移転したことで、国政が安定しました。

また、バドラヴァルマン1世は、シンハプラの西側にあるシュリーシャーナヴァドレーシュヴァラにヴァドレーシュヴァラ廟を建立しました。この寺院はシヴァを祀る重要な宗教施設となり、彼の治世における文化的・宗教的な発展を象徴しています。碑文によると、彼の支配地域は現在のトゥーボン川盆地から南のダーラン川河口まで広がり、他の神々も崇拝されていたことが確認されています。

軍事活動と国際関係

399年、バドラヴァルマン1世は、東晋の日南郡と九徳郡に侵攻しました。この際に、日南太守の炅源や九徳太守の曹炳を捕えました。しかし、交趾太守の杜瑗が派遣した都護の鄧逸との戦闘において敗北を喫しました。405年と407年にも再度日南郡に攻撃を仕掛けましたが、杜瑗が派遣した海邏督護の阮斐に同様に敗れます。

413年2月には、九真郡に侵攻して行郡事である杜慧期と戦闘を交えましたが、戦いで彼の子である交龍王范甄知や部将范健を失い、さらに息子の范那能を捕えられるなど、多くの損失を被りました。その後、彼自身も行方不明となり、後の記録では「杜慧度に殺害された」との説も存在します。

文化的影響

バドラヴァルマン1世の治世は、チャンパ王国の文化や宗教において重要な影響を与えました。彼が建立した寺院や他の文化的施設は、インドの影響を受けた信仰の拡大に寄与し、後の王たちにもその文化が受け継がれていきます。彼の業績は、ベトナムの歴史においても大きな意義を持ち、特に宗教的な側面においては今なお語り継がれています。

バドラヴァルマン1世の治世は、政治的成功と文化的な発展のバランスが取れた時代であり、彼の名前はチャンパ王国の歴史において永遠に刻まれています。

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