茶本繁正

茶本繁正（ちゃもと しげまさ）

プロフィール

茶本繁正は、1929年10月3日に生まれ、2006年3月10日に76歳で亡くなった日本のジャーナリストです。大分県出身で、戦時中は少年兵として終戦を迎え、特攻隊下士官であった経験から、平和への強い思いを抱いていました。

ジャーナリストとしての活動

早稲田大学を卒業後、新聞記者、主婦と生活社勤務を経て、1960年にフリーのルポライターに転身しました。ジャーナリストとして、社会問題や政治問題に積極的に関わり、特にイラクへの自衛隊派遣や有事法制に対しては、その危険性を訴え、批判的な立場を貫きました。

1977年には、統一協会（現・世界平和統一家庭連合）傘下の学生組織である原理研究会の内幕を調査した『原理運動の研究』を刊行。この著作は、その後の統一協会問題に関する議論に大きな影響を与えました。同書と資料編により、翌1978年に日本ジャーナリスト会議奨励賞を受賞しています。また、同会議では代表委員も務めました。

さらに、村井資長早稲田大学前総長らが呼びかけた原理運動を憂慮する会にも名を連ねるなど、社会的な活動にも積極的に参加しました。

日本ジャーナリスト専門学校では講師を務め、後進の育成にも尽力しました。また、「九条の会」傘下の「マスコミ九条の会」呼びかけ人としても活動し、平和憲法を守る立場から、戦争や軍備拡張に反対する運動を支援しました。

2006年3月10日、胃癌のため東京都立川市の病院で76歳で死去しました。

著書

茶本繁正は、多数の著書を執筆し、その内容は社会問題、政治問題、ジャーナリズム論など多岐にわたります。主な著書には以下のものがあります。

『夜の日本列島:秘プレイタウン』（秋田書店、1969年）
『大衆虐待時代:にっぽん繁昌記』（三笠書房、1970年）
『原理運動の研究』（晩聲社、1977年8月）
『原理運動の研究』（筑摩書房〈ちくま文庫〉、2023年9月）
『原理運動の研究 資料篇 1・2』（晩聲社、1977年11-12月）
『原理運動の実態 ファッシズムへの道』（三一書房、1979年5月）
『獄中紙『すがも新聞』 戦後史の証言』（晩聲社、1980年10月）
『ドキュメント軍拡改憲潮流』（五月社、1983年6月）
『戦争とジャーナリズム』（三一書房、1984年4月）
『現代フリーライター論 ジャーナリストの"志"とは何か』（三一書房、1985年5月）
『国家秘密法は何を狙うか 総批判』（高文研、1987年3月）
『マスコミはたたかっているか』（大月書店、1991年7月）

これらの著書からは、茶本繁正の社会に対する強い関心と批判精神、そして平和への熱い思いが伝わってきます。

参考文献

鶴見俊輔監修『平和人物大辞典』（日本図書センター、2006年6月）
2006年3月11日付「朝日新聞」39面

関連項目

日本ジャーナリスト会議
有事法制
* 全国革新懇

茶本繁正は、その生涯を通して、ジャーナリストとして社会の矛盾や不正を追及し、平和と民主主義のために戦い続けた人物でした。その活動は、現代社会においても大きな示唆を与えてくれます。

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