荀惲

荀惲（じゅん うん）は、後漢末期の人物で、字は長倩（ちょうせん）といい、豫州潁川郡潁陰県（現在の河南省許昌市）の出身です。彼は、曹操の右腕として活躍した荀彧（じゅんいく）の長男であり、安陽公主を妻に迎え、荀甝（じゅんかん）と荀霬（じゅんい）という二人の子をもうけました。

荀惲は、父・荀彧が亡くなった建安17年（212年）に、万歳亭侯の爵位を継承しました。当時、魏の国内では、曹操の後継者である太子の座を巡って、曹丕（そうひ）と曹植（そうしょく）の兄弟間で激しい争いが繰り広げられていました。曹丕は、荀惲に対して非常に謙虚な態度で接しましたが、荀惲自身は父の死後、曹植と親交を深めました。さらに、荀惲は曹丕の盟友であった夏侯尚（かこうしょう）とも仲が悪かったため、曹丕から恨みを買うことになったと伝えられています。

荀惲は、官位が虎賁中郎将（こふんちゅうろうしょう）にまで上りましたが、若くして亡くなりました。彼の二人の息子、荀甝と荀霬は、曹丕の甥にあたることから、曹丕から特別な寵愛を受けたとされています。

羅貫中の小説『三国志演義』においては、荀彧が曹操の意を受けて自害した後、荀惲が曹操にその死を報告する場面で、名前のみが登場します（第61回）。

出典

* 陳寿撰、裴松之注『三国志』巻10 魏書 荀彧伝及び付荀惲伝

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