荒井英一

荒井 英一（あらい えいいち）

荒井英一は、日本を代表する作曲家として、多くのヒット曲を生み出した人物です。1926年2月14日に栃木県矢板市で生まれ、数々の音楽活動を通じて、日本の音楽シーンに多大な影響を与えました。彼の代表曲である「あゝ上野駅」は、特に有名で、作曲家としての名声を確立させるきっかけとなりました。

略歴と経歴

荒井は老舗旅館「住吉荘本店」の長男として育ち、少年期には野球や剣道に夢中でした。1945年に19歳でNHKのど自慢に合格し、歌手を目指すようになった彼は、声楽の勉強をしながら徐々に作曲の道へと進みました。1964年、「あゝ上野駅」が大ヒットしたことで、彼の作曲家としての地位は確固たるものとなりました。この曲は関口義明が作詞したもので、当時の集団就職者の気持ちを代弁し、多くの人の心を掴みました。

その後も荒井は、質の高い作品を次々と発表。1985年には全国大衆音楽家協会の会長に就任し、その名声をさらに高めました。出身地である矢板市に対する愛情から「矢板市の歌」や「矢板音頭」など、地域に根ざした音楽も多数手掛けています。

主な作品

荒井英一の楽曲は、演歌や歌謡曲が多く、井沢八郎による「あゝ上野駅」の他にも、様々なアーティストに楽曲を提供しました。以下は、彼が手掛けた主な曲です：

• - 井沢八郎: 「あゝ上野駅」「しぶき舟」「ダンチョネ鴎」など
• - 日野てる子: 「北国の初恋」「若い朝」
• - 野口五郎: 「博多みれん」「ひとり雨」
• - 葛城ユキ: 「狼の挽歌」
• - 小鳩くるみ: 「虹の国」「九九のうた」など

その他にも、数多くのアーティストに楽曲を提供し、ポップスや童謡にも進出するなど、幅広い音楽ジャンルに対応していました。

エピソード

彼に師事した野口五郎は、デビュー前に「荒井英一先生の演歌レッスンに通いました」と語っています。このおかげで、野口のデビュー曲「博多みれん」も荒井が作曲したものであり、彼との音楽的な繋がりを強調しています。

また、矢板市の長峰公園には、荒井の功績を称える「荒井英一先生顕彰碑」が建立されており、作曲家らしいデザインのグランドピアノをかたどった形をしています。土台には彼が愛用していた指揮棒も埋め込まれており、彼の音楽への情熱を永遠に記憶するための象徴となっています。

2013年には、上野駅の開業130周年を記念して、「あゝ上野駅」が発車メロディとして使われることになりましたが、残念ながら作曲者や作詞者、歌唱者はいずれも故人でした。これにより、彼らが生み出した旋律が新たな形で再び世に出ることとなりました。

荒井英一は1990年に64歳で他界しましたが、彼の音楽は今なお多くの人々に愛され続けています。音楽界における貢献は計り知れず、彼の楽曲は世代を問わず歌い継がれています。

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