荒井賢一

荒井賢一

荒井賢一（あらい けんいち、1943年2月23日 - ）は、日本の著名な工学者・物理学者であり、特に磁気工学の分野で多大な貢献をしています。東北大学名誉教授であり、公益財団法人電磁材料研究所の評議員を務めています。

人物と経歴

長野県長野市出身。1971年に東北大学大学院工学研究科博士課程を修了し、工学博士の学位を取得しました。学位論文は「磁気共鳴法を用いたスピネル型強磁性単結晶の磁気弾性結合に関する研究」です。

東北大学電気通信研究所にて助手、助教授を経て、1986年に同研究所電気通信材料学研究部門の教授に就任しました。2004年には東北大学評議員、2005年には東北大学総長候補者選考管理委員会委員長を務めました。

2005年には、（独）情報通信研究機構の連携研究部門内に仙台リサーチセンターを立ち上げ、プロジェクトリーダーに就任。2006年に東北大学を定年退職後、(財)電気磁気材料研究所の技術統括理事、専務理事(研究開発事業部長兼務)を経て、2015年より理事長、2023年より評議員に就任しています。

2000年からは、第18期日本学術会議会員として、第5部(工学分野)の幹事などを務めました。

研究実績

荒井教授は、東北大学電気通信研究所において、バルク、薄帯、薄膜磁性材料を中心とした新たな電磁材料の研究開発から、これらの材料を用いた新規デバイスの開発、電磁波・生体から発生する微弱電磁界の計測などの応用研究分野まで、磁気工学のほぼ全範囲に渡る幅広い研究を推進しました。その成果は、新たな研究開発の方向性を示すなど、多岐にわたります。

主な研究成果は以下の通りです。

材料物性の研究と新たな電磁材料の開発
磁気ヘッド用急冷センダスト薄帯の開発
低損失高珪素鋼薄帯の開発とその結晶集合組織制御の研究
鉄系アモルファス材料の巨大ΔE効果（磁界による著しいヤング率の変化）と磁気弾性結合係数の発見
アモルファス高誘電薄帯の開発
各種センサデバイスおよびセンサシステムの開発
感温フェライトを用いたLC共振形リモート温度センサの開発
室温で10-8エルステッド（ピコテスラ）台の極微弱磁界検出が可能な高周波キャリア形磁界センサの開発とその心磁界計測への応用
ワイヤレス磁気マーカを用いた歯科用顎運動計測システム・モーション・キャプチャー（位置検出）システムの開発
マイクロ磁気アクチュエータの開発
微小な磁性体を電磁力で遠隔駆動することにより空中を羽ばたいて飛行する蝶形マイクロロボット
生体組織中および血管内を移動するスパイラル形マイクロロボット
腸内を移動するカプセル形ロボット
GHz帯電磁波の可視化技術の開発
平面形シールドループ高周波磁界測定用プローブの開発（このプローブは、LSIから発生する電磁妨害波を測定するための国際標準規格となっています）
磁気光学結晶を用いたループ形および共鳴型電磁波測定プローブの開発と電磁波の可視化システムの実現

これらの業績により、荒井教授は学会および産業界を代表する研究者として広く知られています。また、多数の弟子を育成し、彼らが現役の研究者として活躍していることも特筆に値します。

受賞・栄誉

荒井教授は、長年にわたる研究活動と社会貢献により、数々の賞を受賞しています。

市村賞(貢献賞) (1986年)
科学技術庁長官賞、研究功績者 (2000年)
電気学会業績賞 (2001年)
日本応用磁気学会 論文賞 (2004年)
電波の日・情報通信月間 表彰 (2005年)
日本応用磁気学会 学会賞 (2005年)
瑞宝中綬章 (2024年)

所属

電磁材料研究所
* 東北大学電気通信研究所

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